ネット証券

2009年11月04日

ネット証券について。


■ セグメント売上

SBI証券の説明会資料の中に良いグラフがありました。



委託手数料と金融収益がメインとなってます。
SBIとマネックスのトレーディング損益が大きいのは、FXの取引が (カバー取引の内製化により) トレーディング損益に入っているのが原因のようです。



■ 株式売買手数料

大手5社の1日あたり売買代金 (億円) と3市場個人委託売買代金の推移です。



各社の売買代金は3市場個人委託売買代金と連動しています。あたりまえと言えばあたえまえですが、市場が悪ければ証券会社ががんばってもどうにもならないということでしょうね。

ちなみに3市場個人委託売買代金というのはカブドットコムの資料から抜き出しましたが、これは東証1部売買代金とはまた別物らしいです。
東証1部売買代金と、3市場個人委託売買代金と、日経平均とマザーズ指数の推移グラフ。





違う数字とはいっても傾向は似ています。3市場個人委託売買代金の方はマザーズの影響がやや強いといったところでしょうか。
いずれにせよ、売買代金は株価の上げ下げに依存するみたいです。


個人委託売買代金に占める大手5社の市場シェアです。こちらも出所はSBI証券。



あまり変化ないですね。SBIがトップで、楽天がその半分くらい、松井、カブドットコムとマネックスは同じくらいです。


各社の売買手数料収入 (百万円) と3市場個人委託売買代金 (兆円) の推移です。



SBIが06〜07年にかけてやや強かったりしますが、とはいえ全体として見れば手数料収入は売買代金に連動してます。



■ 信用残高

各社の金融収支 (百万円) と3市場の信用取引残高 (売買合計・単位兆円) の推移です。



松井証券は金融収支が比較的大きかったのですが、SBIに首位を奪われてます。
しかしまあ、こちらも全体としては市場の残高に連動すると考えてよさそうです。


信用取引残高と日経平均の推移。



株価が上がると信用残高も増え、株価が下がると信用残高は減る傾向があります。多少ギャップがあるのは、信用残高も新興市場の影響を受けているからでしょう。

手数料収入と同じく金融収支も株価しだいといったところでしょうか。



■ 経常利益と株価

大手5社の経常利益と日経平均・マザーズの推移です。





経常利益トップは松井とSBIです。楽天はシェアが高いわりに利益が出ていません。ネット証券に関しては市場シェアというのが直接利益に結びつくわけではなさそうです。シェアが低くても低いなりに利益は出るのかと。

先に見たようにネット証券の売上は売買手数料と金融収益が大きいです。で、売買手数料は市場の売買代金に、金融収支は信用取引残高に依存しています。売買代金と信用取引残高はいずれも株価に連動しているので、結局、ネット証券の業績は株価しだいということだと思います。



■ FX

SBI証券の説明資料に各社のFX売買代金の推移のグラフがありました。見てのとおり、SBIとマネッククスがFXに力を入れているようです。



直近の2Q決算の営業収益に占めるFXの割合は、SBI15%、松井5%、カブコム5%、マネックス14% (FX手数料とトレーディング損益の合計)、となっていました。
うまくいけばこれが第3の収益源に育つ可能性もありそうです。私はFXをやらないので知りませんが、ネット証券のFXの使い勝手はどうなんでしょうね。



■ その他

その他の収益源として期待できそうなのは、PTS (私設取引システム) とCFD取引でしょうか。

PTSにはPTS Infomation NetworkというHPがあり、売買代金の統計情報を見ることができます。
9月の取引所銘柄取引合計に占めるPTS取引というのは0.875%とのこと。こちらによると「米国では電子証券取引ネットワーク(ECN)と呼ばれるPTSが、ナスダック市場取引高の3割から4割を占める状態になっている」そうなので、PTSが順調に発展すれば運営会社の業績に寄与するかもしれませんね。
9月のジャパンネクストの売買代金÷SBIの株式売買代金は約5%、カブドットコムは約3%程度です。

CFD取引に関しては、まだ始まったばかりといった感じかと。



■ SBIと楽天

SBI証券と楽天証券の経常利益を親会社の経常利益と比較したグラフです (全体とセグメントではなく、親会社と子会社の比較)。



現在のSBIは親会社が足を引っ張っている状況です。しかし06年度はすごい利益を出してます。05年・06年上半期は何でこんなに利益が出ていたのでしょう?その後のダメさ加減を見るとかなり怪しさ満点といった感じですが、市況が良くなればすごい利益が出てくる可能性がありそうです。




楽天は本業がまっとうで、証券はセグメントの一部といった感じです。とはいえ、ピーク時の経常利益まで回復すれば全体の業績にもかなり貢献しそうです。



■ バリュエーション

現在の株価に対する直近4半期とピーク年度 (SBI証券は07年、その他は06年) のPERです。
PERは時価総額÷経常利益×0.6、SBIのPERはSBIの時価総額に対するSBI証券の利益で計算しています。



売買代金が回復すれば割安だと思います。

相場雑感 11月3日

2009年11月03日

■ トレンド

欧米は派手に下げたものの、新安値までは余裕があります。上昇トレンドが終わったと判断するのはまだ早いかなと。



○はブレイクアウト中、×はブレイクダウン中。



■ マクロ経済

いくつか弱い指標が出ています。
コンファレンスボード消費者信頼感指数が大幅下落、新築住宅販売件数が微減、実質可処分所得と実質消費支出が前月比でマイナス。
市場は弱い材料に敏感に反応しました。


消費者信頼感指数。これはどれくらい重要な指標なんでしょうね。
同じような調査にミシガン大消費者信頼感指数がありますが、こちらは8月がわずかに下落、先日発表された9月の数値は大幅プラスでした。
消費者信頼感指数というのはアンケート調査なので、個人的にはそれほど気にする必要はないと思ってます。


住宅販売件数は8月の417 (千件) から9月の407 (千件) に下落。でもこれは誤差の範囲でしょう。住宅着工はプラスです。
問題はボトムからの回復の勢いが鈍いというところだと思います。




実質可処分所得は前月比-0.1%、実質消費支出は前月比-0.6%でした。
前月比では悪化でしたが、とはいえ前年比を時系列に見るとやはり最悪期からは回復しています。問題は住宅市場と同じく回復に勢いがないところかと思います。

(実質可処分所得・消費支出の前年比と貯蓄率)



消費がなかなか回復しない原因と思われるのが家計の負債です。こちらは多少減ってはいるものの、まだまだ非常に高い水準にあります。




暗い話題が多いので明るい点も。

在庫の水準が減っています。
在庫と、在庫/売上レシオから逆算した売上の前年比の推移です。



09年5月から売上が回復していますが、企業は在庫削減を続けています。結果として在庫は非常に低い水準になっています。5年平均売上を使った在庫/売上レシオは93年以来で最低の数字です。

住宅市場でも在庫は低い水準にあるので、景気回復がたとえ鈍いとしても、いずれ企業は生産を増やさざるを得ない状態になると思います。そうすれば雇用も回復し消費にもプラスに働くかと。


過去のリセッションと今回のリセッションの回復の様子を、実質GDP成長率への寄与率の積み上げグラフで見てみます。

(過去の平均)


(今回)


過去のリセッションの回復期には在庫投資が実質GDP成長率に大きく寄与していますが、今回は09年3Q3にようやくプラス転換したばかりです。やはり在庫投資に関しては上積み余地が大きいと思います。



■ ファンダメンタル

ロバート・シラー教授のHPより10年EPSを使ったPERの推移です。
現在のS&PのPERは19.48倍となっており、戦後の平均水準よりもわずかに高い位置にあります。





■ 相場観

現在の市場のコンセンサスは、景気は底を打ったが家計の過剰債務が重く回復はゆるやかなものになる、という感じだと思います。で、データを見るかぎりコンセンサスと数字のズレはあまりなさそうです。
株価とデータにギャップがないので、現状ではマクロ数字やファンダメンタルの水準から投資を考えるのは難しそうです (データが意味を持つのは07年に住宅市場が崩壊していたにもかかわらず株価が上がっていたようなギャップのあるときだと思います)。

景気の回復は続いてますし、株価の水準も異常値にないですし、トレンドもまあ上昇中ということなので、引き続きロングを継続しようと思います。
ただ、ファンダメンタルが無条件で良いという状況でもなさそうなので、市場を買うよりも個別株の材料買いをメインにしていきます。

中国ネット系銘柄 3Q決算

2009年10月27日

○ バイドゥ

・前年比
売上高 39%、営業利益 42%、純利益 42%

・前期比
売上高 17%、営業利益 25%、純利益 29%

・四半期EPS (RMB)
EPS 14.23 (2.08ドル)、希薄化EPS 14.24

良い決算だったと思います。
前年から今年初めに景気の影響で低迷したため前年比での成長率は鈍化していますが、前期比で見ると高成長に戻っています。

しかし、4Qのガイダンスが低調 (3Q比で売上減) だったため時間外では暴落しています。
売上減収の理由は、新しい広告システムに移行するためだそうです (すでに70%の顧客が新しいシステムに移行済みとのこと)。

売上減は一回限りなので問題ないのではと思います。競争相手もGoogleなのでこちらも問題ないかと (中国政府はGoogleのシェア拡大を望まないでしょう)。ただ、昨今の上昇によりバリュエーション面での割安感はあまりないかと思います。





○ ソーフー

・前年比
売上高 13% (広告 -1%、オンラインゲーム 26%、その他 15%)、営業利益 20%、純利益 -7%

・前期比
売上高 7% (広告 12%、オンラインゲーム 3%、その他 13%)、営業利益 8%、純利益 11%

・四半期EPS (ドル)
EPS 0.97、希薄化EPS 0.88

無難な決算でした。オンライン広告は四半期ベースで順調な成長 (前年はオリンピック効果あり)。オンラインゲームは成長鈍化しているものの横ばいです。
なお、ソーフーはオンラインゲームをチャンヨウとしてスピンオフしているので、純利益ベースでは前年比減益 (少数株主の項目があるので) となってます。

株価は決算後に10%を超える暴落。
オンラインゲーム子会社のチャンヨウの4Qのガイダンスがアナリストの予想を下回ったためとのこと。

バイドゥのPERに割高感が出てきたので比較的割安なソーフーに乗り換えたのですが、いきなりの暴落でまいりました・・・。

株式投資の知識まとめ

2009年10月19日

株価関係のデータをいじったり本を読んで得た知識をまとめます (書いていて力つきたので暫定です・・・)。


■ データについて

各リンク先の数字は、特に断りがなければロバート・シラー教授のHPからダウンロードしたデータを使っています。シラー教授のデータを使っていて気づいたことなどはこちらに書いておきます。



■ バイアンドホールド

株価の低迷はときに10〜20年に及びます。よって、ひとつの指数を単純にバイ&ホールドする投資法はリスクが高すぎます。インデックス投資を選択するのであれば、少なくとも世界株式に分散投資するべきだと思います。
株価が長期低迷した期間



■ ファンダメンタル

PERは一定のレンジで推移するため、超長期の株式リターンはEPSの成長からもたらされます。
株式の長期リターンとEPS・PERの推移


では、EPSの成長は決める要因は何か?普通に考えると全体の経済成長が高いほどEPSの成長も高くなる気がします。
過去の時系列データを見ると、アメリカS&Pの場合は断言できるほどはっきりとしていないものの、日本の実質GDPと法人企業統計の売上高推移はかなり一致しています。企業の利益が経済成長に比例するというのは無理のない考え方だと思います。
他の条件が同じであれば (というのは難しいですが・・・) 経済成長率の高い国に投資した方が良い結果が得られる可能性が高いのではないでしょうか。
経済成長と企業の利益成長


ただしアメリカのデータを見ると、10年単位でも株価がGDP・EPSの伸びと連動せずに動いていることもあります。たとえば、1970年代には実質GDP・実質EPS成長率がプラスだったのにもかかわらず株価は大きなマイナスリターンでした。株価がEPSに反して動くことがあるのは、PERの変化が大きな影響をもっているためです。
EPS・GDP・株価の10年変化率


ではPERの水準から株価リターンを予測できないか?
この点は、ロバート・シラー教授がValuation Ratios and the Long-Run Stock Market Outlook (PDF) で調べており、PERが高いほどその後のリターンが低くなり、PERが低いほどその後のリターンが高くなるという結論をしています (簡単なメモはこちら)。


とはいえ、数字を見ていると、特にPERが平常のレンジにある場合にはPERと短中期のリターンの関連はそれほど強くないようにも思えます。
また、株価リターンの高かった1990年代は90年・91年を除いてPER20倍以上で推移しており (戦後の平均は18.1倍)、平均値を超えたからといって必ずしも株価が下がるわけでもありません。
PERが10倍以下、あるいは30倍以上といった異常値ではPERの水準とその後のリターンに明確な差が出るものの、平均値前後の場合ではPERの水準自体にそれほど強い影響力がないように感じました。
PERの水準と株価リターン


もうひとつ、PERの水準と同じくらい重要なのがPERのトレンドです。
時系列の推移からは、PERはインフレ・デフレやEPS成長率とある程度関連しているように見えます。過去の例からは、インフレ・デフレが激しい時期にPERは最低値となり、物価が低位安定しているときにバブル的上昇が起こっています。
また、PERの推移はEPS成長率を後追いしているようにも見えました (あくまでも見えたというだけですが・・・)。
PERの水準を決める要素



■ マクロ経済と株価

マクロ経済というとリセッションがひとつの単位となります。
ではリセッション中の株価はどうか?過去のデータを見ると、景気後退期の株価リターンはほぼゼロで、リターンのすべては景気拡大期からもたらされています。
ちなみに景気の山と谷を詳しく見ると、景気の谷前後のリターンが非常に高いことがわかります。景気後退終了の6カ月前から拡大期に入って3カ月後までの期間のリターンは平均で30%ほどと非常に高い値になっています。
景気循環と株価リターン


景気後退を予想するには住宅市場が鍵になります。この点についてはHousing Is the Business Cycle (PDF) というワーキングペーパーが非常に詳しく分析しています (簡単なメモはこちら)。
要旨は、リセッションは個人消費や住宅投資といった消費サイドの動きが先導して企業投資サイドは遅行する、よってリセッションを予想するのには住宅投資の動きが最も役に立つという話です。この傾向はアメリカだけでなく日本でもある程度あてはまるように感じました。
リセッションにおけるGDP各項目の動き


さて、住宅投資が重要といってもGDPの統計を見てから投資判断をするのではタイムラグから遅すぎます。よって住宅着工件数・新築住宅販売戸数といった統計を使う必要があります。
過去のデータからは、着工件数・販売戸数は株価とほぼ同時期にピーク・ボトムをつけ、景気循環にも先行して動く傾向があるように感じました。着工件数や販売戸数に注目するのは景気循環を観察するのに有効だと思います。
住宅市場と景気循環と株価


ただし、住宅市場の変化をつかむタイムラグの問題がありますし、そもそもリセッションと株価の下落は必ずしも同じ時期に起きるわけでもありません。むしろ無関係な時期に起きていることも多いです。
景気後退と株価の下落トレンド


景気循環を予想するのはタイムラグの問題があり、仮に正しく予想できたとしても株価が下落するとは限らない、この辺りがマクロ投資の難しさでしょうね。


もう一点。
FRBが金利を下げると株価は上がるという話は有名です。このセオリーは時系列データで見ると非常に有効に機能しています。しかし、2000年以降はまったく駄目です。
結局、政策金利と株価の関係は、FRBへの信頼や実際にFRBが景気をコントロールできるかどうかにかかっているということでしょう。、FRBが景気をコントロールできなければ金利を下げても株価は下がるということかと。
政策金利と株価


■ トレンド

伊藤園の優先株

2009年10月18日

少し調べ直したアップデートです。


○ 普通株と優先株の違い

普通株と優先株の違いはavexfreakさんのブログに簡潔にまとめられています。

1 普通株式に配当する場合、優先株式には普通株式の125%の配当を行う (今期は、普通株式は38円に対して、優先株式は48円の配当)

2 普通株式が無配の場合を含めて1株あたり最低15円の配当を保障する

3 配当が連続してなされないなど例外的なケースを除いて株主総会において議決権を行使することができない

4 一定の要件を満たす公開買付や合併、株式交換、上場廃止などのイベントが生じた場合には強制的に取得され、普通株式が交付される

簡単に言うと、議決権がない代わりに配当が125%払われる株式です。




○ 議決権のプレミアム

議決権の価値はどれくらいなのかと思いネットで検索したところ、Voting Versus Non-Voting Stock: Is There a Difference in Value? というページが見つかりました。

この記事では、議決権のある株式とない株式の価格を比較した研究を4つ紹介しています。
研究によると議決権のプレミアムは、5.44%、1.3%、4.6%と6.37% (2つの期間)、5.44%以下、とのことだそうです (研究ごとに条件が全く違うので詳細はリンク先を参照してください。最後の研究がいちばん大規模のようです)。

いずれにせよ議決権そのものに大きなプレミアムはないということでしょう。
配当の条件がかなり良い伊藤園の優先株の場合は、大きくディスカウントされる理由はないと思います。



○ スプレッド

普通株と優先株の株価推移です。



スプレッドの推移。優先株上昇余地とは、優先株が何%上昇すると普通株と等しくなるかという数字です。



優先株が上場してから、スプレッドは上下しながらも基本的には右上がりに大きくなっています。
現在は、優先株が65%程度あがるか普通株が40%程度さがると株価がイーブンになる状況です。同一の株式としては無茶苦茶なスプレッドですね。



○ 伊藤園の業績

茶葉、飲料、その他、の3セグメントにわかれてますが、飲料が約90%という構成です。
飲料の中でも日本茶の「お〜いお茶」の売上が大きく、全体の売上の40%以上を占めています。緑茶市場では40%以上のシェアをもっているとのこと。
次に大きいのが野菜飲料で全体の10%ほど。あとは中国茶、果物、コーヒー、ミネラルウォーターなど、全体の数%ずつといった感じ。

業績は、売上高の伸びは止まっており、ここ2年は経常利益が落ち込んでいます。





四半期期間 (累積ではない) の粗利益率と営業利益率の推移です。右下がりですね。



1Q決算では、粗利益は低いままですが、販管費の圧縮により営業利益率が改善しました。前年1Qの営業利益率2.5%から今年は4.5%です。

粗利益や販管費の増加の原因などは短信を読んでもいまひとつわからず。
ペットボトルの比重が大きく原材料高が逆風みたいに書かれていたり、販管費の内訳を見ると販売手数料や減価償却費が増えていたりするが、ビジネスセンスがないので今後のことは見当がつきません。とりあえず粗利益が改善しないと厳しいのではないですかね?
伊藤園についてはこちらのサイトがフォローしており参考になります。