景気と株価リターン

2016年03月14日

景気が良いと株価は上がり、景気が悪くなると株価は下がる、当然の事実のように思えますが、実際にそのような動きになっているのでしょうか。景気循環と株価リターンを見てみます。


○ 株価と景気循環のチャート

まずはざっくりとチャートを見てみます。名目株価だと過去の数字が小さくなりすぎて変動がわかりにくいので、実質株価と景気拡張期・後退期のグラフです。灰色のシャドーが景気後退期に当たります。
データですが、日本の景気循環は内閣府の景気基準日付で株価は日経平均株価の月足を、米国の景気循環はNBERのUS Business Cycle Expansions and Contractionsで株価はS&P500の月足を使っています。両国ともに消費者物価指数で実質株価に調整しています。





アメリカは比較的景気循環と株価が一致しているように見えます。一方で日本はリセッションの数が多いため、チャートを見ただけでは判断しにくいです。

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株価と為替の連動性

2016年03月07日

日本株と為替が連動して動くのは有名な話です。実感としてもそう思います。では実際にどれくらい連動しているのか。過去のデータをダウンロードして見てみました。


○ 株価と為替

まずは日経平均株価とドル円レートの1973年1月~2016年1月末までの推移です。為替レートは日銀から取得した月末値データです。

・1973年1月~2016年1月末


・2000年1月~2016年1月末


73年から95年半ばまではほぼ円高基調です。株価は89年まで一本調子に上げて、それ以後はバブル崩壊で下げています。この時期は株価と為替はあまり関係なく動いているように思えます。

90年代後半から2000年代初めですが、96年・97年・00年・01年の円安・株安、99年・03年の円高・株高など、現在の円安・株高&円高・株安と逆行した動きも多く起こっています。

為替と株価がきれいに連動するようになったのは04年以後のことです。

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5%運用の資産推移

2016年02月07日

クレディスイスの Global Investment Returns Yearbook 2015 によると、世界の株式のインフレ調整後の実質リターンは1900年~2014年の期間で年5.2%、1965年~2014年の期間で年5.3%とのことです。
国別に見るとばらつきはあるものの5%前後の国が多く、株式投資の利益はそれくらいの利回りに収束するのかなという印象です。一方で債券のリターンは2%程度です。

では、この5%という運用でどれだけの資産を築くことができるのでしょうか?
一般の人が投資可能な期間は長くても50年程度だと思うので、50年間を上限として100万円を2%と5%で運用したときの結果を見てみます。



 5%運用 2%運用
初期元本 100100
10年後 163122
20年後265149
30年後432181
40年後704221
50年後 1,147  269

5%運用の結果を見ると、初期元本の100万円が50年で11倍となっています。最初に1000万円用意できれば1億円を超えることになります。40年でも7倍で、これらくいの時間があれば満足いく結果となりそうです。一方で20年程度であれば資産は2.6倍くらいにしか増えていません。
2%運用の場合は、40~50年の長期でも資産は2~3倍程度です。


次に初期元本0円、毎月5万円を積み立ててながら5%で運用したときの資産の推移を見てみます。



   元本 5%運用  元本比
初期元本 000%
10年後600772129%
20年後1,2002,029169%
30年後1,8004,077226%
40年後2,4007,413309%
50年後3,00012,846428%

こちらも40~50年の期間で見るとかなり大きな資産を築けています。
しかし、20年という期間では、資産は2000万円を超えているものの積立元本が1200万円であり、元本比の資産は169%ほどにとどまります。


今回、5%運用の利益を簡単にシュミレーションしてみた感想ですが、、、

初期投資にせよ積立投資にせよ大きな資産を築きたいのであれば投資期間が長いことが重要。とはいえ40年や50年にわたって投資できる人はまれに思えます。

また、資産の増え方は時間が経つにつれて大きくなりますが、現実の運用成績は最終年付近のパフォーマンス左右されるため、複利の力に頼るのはリスクも大きいと感じます。たとえば運悪く投資人生の最後がリーマンショックのような暴落に重なった人は、引退寸前に資産が半減してしまうことになります。

初期にまとまったお金が用意できればアドバンテージは大きいと思います。30年の期間でも4.3倍なので、1000万円用意できれば4300万円にもなります。

積立投資は30年で2倍少々です。決して馬鹿に出来ない利益だと思いますが、リスクの高さを考えるとちょっと物足りない気がします。

株式投資のリスク

2015年08月22日

株株式投資のリスクはどれくらいなのか?という話です。


○ マイナスリターンの年

リスク=損をすることというのが一般の人の考えだと思うので、まずは年間でマイナスリターンになる確率がどれくらいあるのか見てみます。

下のグラフは1950年~2014年までの日経平均の年間リターンの分布です。
65年のうちマイナスリターンになったのは24回で全体の37%でした。-10%を超える損失が15回で全体の23%、-20%を超える損失が6回で全体の9%、-30%を超える損失が2回で全体の3%でした。
おおよそですが、3年に1度マイナスの年があり、5年に1度10%を超える損失が、10年に1度20%を超える損失があったということになります。



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バリュエーションと投資タイミング

2015年05月04日

低PERや高配当利回りといったバリュー株のパフォーマンスが平均を上回ることはよく知られています。
では、個別銘柄と同じように株価指数でも低バリュエーションが高リターンを、高バリュエーションが低リターンをもたらすのでしょうか。また、もしそういった傾向があるのならば、バリュエーションが高くなったときに市場から撤退するマーケットタイミングが可能となるのでしょうか。

PERの水準がその後のリターンを左右するという研究では、キャンベル教授とシラー教授の Valuation Ratios and the Long-Run Stock Market Outlook が有名です。
それによると1871~2000年の米国株のデータでは、PER(10年EPSでスムーズ化)の水準によってその後10年の株価リターンを30%説明(R2 statistic)できるとのことです。

シラー教授のデータを2013年まで延長した散布図が下になります。ぱっと見てわかるように、高PERはその後の低リターン、低PERはその後の高リターンを示しています。



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株価とインフレ

2015年04月03日

株価とインフレの関係についていくつかレポートを読みました。


■インフレと株価

まずはアメリカの実質株価とインフレ率の長期推移を見てみます。Global Investment Returns Yearbook 2012 にチャートが掲載されていました。



これを見ると、株価とインフレはかなり連動しているように感じます。
二度の世界大戦前後と70年代~80年代にかけての高インフレの期間と、大恐慌によるデフレの期間に株価は低迷している一方で、50年~60年代や90年代の低インフレの期間に株価は好調です。

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インデックス投資と個別株投資

2015年02月20日

株式投資を始めるにあたりパッシブ投資かアクティブ投資かという重要な選択をしなければなりません。

パッシブ投資は市場そのものを買うという考え方で、具体的にはTOPIXや日経平均といった指数に連動するファンドやETFを買います。何の知識がなくても市場平均のリターンを得ることができるというメリットがあります。

一方で、アクティブ投資は個別銘柄を選択することで市場平均を上回るリターンを目指します。一見こちらの方が主流に思えますが、アクティブ投資への批判として市場は効率的(または非効率があってもそれを利用するのが難しい)なので平均を上回るリターンを継続的に出すのは難しく、個別銘柄を選ぶのは無駄な努力だというものがあります。
僕は個別株投資をメインにしているので、アクティブ投資の魅力について少し考えてみます。

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株式投資から期待できる利益

2015年02月06日

株を買うににあたって一番気になる「株は上がるのか?」「上がるとすればどれくらい上がるのか?」という話です。


① 過去114年のデータ

クレディスイスの Global Investment Returns Yearbook 2014 のなかに21か国と世界&ヨーロッパ地域を対象とした超長期(1900年~2013年)のデータが公開されています。
下のグラフはそこから抜粋した1900~2013年と1964~2013年の期間における世界各国のインフレ調整後の株式の年率リターンです。


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アセットアロケーションについての話

2014年10月27日

アセットアロケーションについて書かれた文章をいくつか読みました。
思ったより難しい内容が多く、英語力の不足から理解しにくい部分もありました。また、この種の細かい話がどこまで重要なのかなと疑問に思うところもあります。でもせっかく読んだのでとりあえず僕が理解したことを書いてみます。

まずアセットアロケーションについての議論の流れについては、アセットアロケーションはどれほど重要か? 20年の議論の軌跡がわかりやすいと思います。

日本語で読める解説は以下のページが見つかりました。
アセット・アロケーションの重要性とリバランス(上)
アセット・アロケーションの誤解を解く
ポリシー・アセットアロケーションの説明力

上でも書かれてていますが、「アセットアロケーションでX割決まる」とか「アセットアロケーションによってリターンのXX%を説明できる」とあるとき、いくつか異なる意味があります。
Does asset allocation policy explain 40, 90, 100 percent of performance? はこれを、アセットアロケーションはファンドのリターンの変化量の90%を説明し、ファンド間のリターンの差異の40%を説明し、ファンドのリターンの水準の100%以上を説明する、とまとめています。

our analysis shows that asset allocation explains about 90 percent of the variability of a fund's returns over time but it explains only about 40 percent of the variation of returns among funds. Furthermore, on average across funds, asset allocation policy explains a little more than 100 percent of the level of returns.



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株価の長期低迷期

2014年10月23日

株価が長期にわたり低迷した時期のチャートです。1989年からの日本株をアップデートし、1999年~2012年の米国株を加えました。
名目株価、実質株価、配当込み実質株価の3つをチャートにしています。


・S&P500 1929~1947年

1929年に株価が暴落した後、23年~36年にかけて戻しますが、37年から再び下落に転じ47年まで低迷が続きます。この時期はデフレ傾向だったので名目株価と実質株価は同じような値動きになってます。

配当込の株価は35年に元本を回復し、その後も多少の落ち込みはありますがリターンを伸ばしています。この期間は配当利回りが高いこともあり、配当再投資の効果が十分に発揮されています。





・S&P500 1966~1981年

インフレによる低迷期です。名目株価は横ばいで73~74年を除き余り下げていませんが、実質株価は16年で半分以下にまで落ち込んでいます。配当を含めても2割の下落です。インフレの厳しさが良くわかります。





・S&P500 2000年~2012年

2008年に底を打っていますが2012年(2013年の年初)までのチャートです。
2013年の年初の時点で名目株価はピークを抜けています。実質株価は25%ほど下ですが、配当込みの指数もピークをほぼ回復しています。

ITバブルの株価が比較対象とはいえ、21世紀のアメリカ株ですら12年も横ばいかマイナスが続くことがあるというのはなかなか厳しい現実です。

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・TOPIX 1989~2008年

デフレ傾向が続いていたため名目株価と実質株価はほとんど変わりません。また日本株は配当利回りが低いため、配当込みで見てもほとんど救われていません。

バブル崩壊から24年経っていますが、名目・実質株価はピークの5割以下に低迷しています。配当込でも4割近い下落です。2011年末の時点が底で名目・実質株価はピークの1/4しかありませんでした。

ただし、バブル崩壊直後の90~92年を除けば、この20年間は横ばいだったともいえます。あまり救いになりませんが。



※配当利回りは、97年までは財政金融統計月報2000年3月金融・証券特集、98年からは東証HPよりデータを取得しています。




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