GDP雑感

2015年02月18日

実質GDPは年率2.2%成長で市場予想の3.8%を下回ったとのことです。
回復鈍いという見出しのとおり数字にいまいち感はありますが、全体的には回復が続いており問題ない状況だと思います。

実質成長率の前期比年率のグラフです。
リーマンショック以降では2四半期連続のマイナス成長は今回で3回目です。相変わらず日本経済は地力がないと思います。とはいえ、増税後の14年2Qを底にして2四半期連続で大きく回復しているのは確かです。




各項目を見ると、輸出が2四半期連続でプラスになっています。
日銀の実質輸出入を見ても2014年の中頃からの輸出の増加はかなりはっきりしています。
円安にもかかわらず輸出が増えてこないというのが大きな謎でしたが、ここにきて輸出が増加に転じているのは心強い話です。




個人消費の伸びはいまいちですが、良いニュースとしては雇用者報酬が下げ止まりを見せていることがあります。名目は前年比で2.2%増加、実質は-0.6%ですが四半期比では2四半期連続のプラスです。今年は消費税の増税がありませんし、賃上げが続けば個人消費も回復してくると思います。




賃上げ圧力となる人手不足は続いています。求人倍率は14年の前半から半ばにかけて横ばいとなりましたが、昨年の終わりから再び上昇に転じています。



雇用者報酬

2014年10月08日

6-8月の実質雇用者報酬はプラスになっていると安倍首相が言っているというニュースを見ました。

BRIEF-実質雇用者報酬は消費増税分除くと6─8月プラス、アベノミクスは機能=安倍首相

安倍晋三首相は6日午前の衆院予算委員会で、実質雇用者報酬は消費増税分を除くと6─8月はプラスとなっており、アベノミクスは機能しているとの認識を示した。小沢鋭仁委員(維新の党)の質問に答えた。



家計の所得を見る統計としては、家計調査の実収入や毎月勤労統計の賃金指数がありますが、これらは就業者数を考慮していません。1人あたりの賃金が減っても、失業率が下がり働いている人が増えれば、全体として賃金が増えるということも起こります。
安倍首相のブレーンの浜田宏一・内閣官房参与はこんなことを言っています。

物価が上がっても国民の賃金はすぐには上がりません。インフレ率と失業の相関関係を示すフィリップス曲線(インフレ率が上昇すると失業率が下がることを示す)を見てもわかる通り、名目賃金には硬直性があるため、期待インフレ率が上がると、実質賃金は一時的に下がり、そのため雇用が増えるのです。こうした経路を経て、緩やかな物価上昇の中で実質所得の増加へとつながっていくのです。



では、実際に雇用者報酬の推移はどうなっているのでしょう。
雇用者報酬はGDPの項目として発表されています。これを見ると、名目値は順調に上がっているものの、実質値は2013年1-3月期をピークに右下がりとなっています。特に直近の4-6月期は2.3%減と大きなマイナスです。



ただ、この統計は四半期ごとの発表なので、首相の言う数字(6-8月期の雇用者報酬)ではなさそうです。

ネットを検索してみたところ月次の雇用者報酬という統計はなく、レポートなどで見る数字は賃金と雇用者数の2つの統計から計算しているようです。

例えば、下のピークアウトの可能性が高まる雇用というレポートに掲載されていたグラフは、出所に「労働力調査」と「毎月勤労統計」とあり、この2つの統計から数字を計算していると思われます。




もうちょっと長期の数字を見るために、毎月勤労統計の賃金指数(現金給与総額)と常時雇用指数から雇用者報酬を計算してみます。どちらも5人以上・季節調整なしの数字を使います。

上のグラフは91年~14年まで、下のグラフは09年~14年です。
13年中頃から名目雇用者報酬の伸びが加速しているのがわかります。しかし、物価の上昇によって実質ではマイナス圏に低迷しており、名目と実質のかい離が激しくなっています。






次のグラフは、労働力調査の就業者数を使った数字と毎月勤労統計の常時雇用者数を使った数字の比較です。賃金はいずれも毎月勤労統計の実質賃金指数です。
両者の動きはほぼ同じですが、労働力調査を使った数字の方がマイナス寄りになっています。




どの統計を使うかによって数字は多少変わりますが、アベノミクス以降で実質雇用者報酬が劇的に改善したという証拠はないと思います。13年下半期から14年にかけては、小幅ながらマイナスが続いているという状況ではないでしょうか。
インフレによって実質賃金が下がるのは仕方ないのかもしれません。しかし、それを打ち消せるほど雇用が増えてこないのは問題だと思います。

増税前後の経済指標

2014年10月02日

消費税が上がって半年ほど経過しました。実際に増税前後で経済指標がどうなったのかをチェックしてみます。


新設住宅着工戸数。家計のもっとも高額な買い物である住宅の統計です。
増税直後の4月こそ3%のマイナスにとどまりましたが、以後2ケタ前後のマイナスが続いています。8月は-13%のマイナスで回復の気配が見えません。
増税前の駆け込み需要はあったと思いますが、その時期でもリーマンショック前のはるか下で推移していました。住宅市場はかなり低迷してます。




自動車販売(軽除く)。
4月に-11%を記録した後、7月にプラス転換しました。しかし、8月-5%、9月-2.8%と再びマイナス転換しています。
時系列で見ると、リーマンショック前から1段下で頭打ちになっているという感じです。






小売関連の統計の前年比です。
こちらはおおむね順調に回復しており、なかでもSC販売統計は8月にプラス転換しています。百貨店売上高とチェーンストア販売もほぼ前年並みに戻りました。




家計調査から2人以上の世帯の消費支出です。
名目消費支出は前年比-1~2%ですが、実質は-5%前後のマイナスです。




勤労者世帯の収入。物価の上昇による実質収入の低下が大きいです。




毎月勤労統計から賃金指数です。
名目の現金給与総額はプラスになっていますが、実質値はマイナスです。アベノミクス前と比べても実質賃金は下がっており、継続的な消費の増加が期待しにくいと思います。




求人倍率。
賃金が下がっても失業率が下がれば全体として消費は増えるのかもしれませんが、好調だった雇用関係の指標に頭打ち感が出てきました。心配なところです。




所定外労働時間も下がり始めています。




鉱工業生産指数は大きく反落中。これを見るとアベノミクスの効果があまり実感できません。




景気動向指数も下落中。このまま下落が続けば調子が続けばリセッションと判断されかねません。先行指数はやや反発しているので、ここで踏みとどまれるといいのですが。




景気ウォッチャー調査ですが、現状DIは反発が弱く、先行DIも頭打ちです。下げトレンドというほどでもないですが、力強く回復という感じではありません。




実質輸出入。
円安にもかかわらず輸出が増えないのがアベノミクスの一番の誤算だったと思います。理由はどうあれ外需が期待できないのは厳しいです。




ざっと見ましたが全体的に厳しい数字が多いと思います。少なくとも、増税の影響を跳ね返してピークを更新していくという感じじゃないです。
実質所得のマイナスで個人消費の伸びが期待しづらい、工業生産はぱっとしなくい、輸出も伸びない、という感じで、現状は突破口に欠ける状況だと思います。
円安→株高→資産効果による消費増加が最も期待できるかなと思ってましたが、ここにきて円安への株価の反応が鈍くなってますし。あとは実際に企業の上方修正が出ることで株価が買われるのを祈るくらいでしょうか。

消費関連の統計と個人消費

2014年05月29日

前回に続いて、今回は商業動態統計と家計調査の項目とGDPの個人消費の関係をグラフにしてみます。


・商業販売額(1995年1Q~2014年1Q)




・小売業販売額(1995年1Q~2014年1Q)




・家計調査の消費支出(2人以上の世帯、名目、2001年1Q~2014年1Q)




・家計調査の消費水準指数(実質、1995年1Q~2014年1Q)




消費関連の統計をざっと見てきましたが、百貨店売上高とチェーンストア売上高は統計が出るのが比較的早く、よくフィットもしているので使い勝手が良いのかなという気がしました。

小売統計と個人消費

2014年05月27日

個人消費の動向を示す統計には、家計調査、商業販売統計、百貨店売上高、チェーンストア販売統計、SC(ショッピングセンター)販売統計、などがあります。

このうち小売業の統計(百貨店売上高、チェーンストア販売統計、SC販売統計)がGDPの民間最終消費とどれくらい相関しているかをグラフにしてみます。

3つの小売統計は、いずれも2000年1Q~2014年1Qまでのデータで、3か月の単純平均を四半期の数字にしています。また、どの統計も既存店の売上高です。


・SC販売と民間最終消費




・百貨店売上高と民間最終消費




・チェーンストア売上高と民間最終消費



3つの統計はどれも民間最終消費と相関があるようですが、SC販売はちょっとばらつきが大きく見えます。百貨店売上高とチェーンストア売上高はおおむね直線になっているみたいです。



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