EV/EBITDAの有効性

2017年07月24日

Four Decades Of Data Show EBITDA Is The Best Valuation Metric

他の指標と比較して EV/EBITDA が最も効果的だったという文献が2つ紹介されています。


ひとつめは2017年発表の EBITDA, EBITA, or EBIT? です。

1987年~2016年の期間で EV/EBITDA、EBITA、EBIT の成績を比較しています。対象は金融と超小型株(25百万ドル)を除いた銘柄です。

結果は、EBITDA → EBITA → EBITの順に有効性が高かったとのことですが、特に金融危機後は EBITDA の優位性は落ちているそうです。

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リーマンショック後の日本株のファクターリターン

2017年06月17日

以前に日本市場のファクターリターンを調べたとき、リーマンショックの頃からバリュー効果が弱くなっているのが気になっていました。そこで今回は2009年からのファクターリターンをもう少し詳しく見てみます。

まずは1990年以降の各ファクターのリターンです(ケネスフレンチ教授のデータベース、クオリティファクターはAQR)。トータルではバリューファクター(HML)のリターンが圧倒的に良いです。



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シンプルな機械的バリュー投資は効果がない

2017年06月11日

Facts about Formulaic Value Investing

・バリュープレミアムが初めて報告された1963-1981年の期間のバリュー効果は非常に強固だが、それ以外の期間ではバリュープレミアムは弱いか存在しない。

・1926-1962年の期間では、バリュー効果が十分にあるという証拠はない。

・1982-2015年のバリュープレミアムは、小型株に偏っており、大型株では有意ではない。

・2002-2015年に限ると小型株のバリュープレミアムも十分ではなくなっている。

・小型株のバリュープレミアムを分解すると割高株売りが利益の源泉になっている。これは流動性やコストの問題がある。



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モメンタムを使ったファクターローテーション戦略

2017年03月07日

Factor Rotation: Possible, but Worth It?

ファクター投資のマーケットタイミングや切り替え戦略を検証しています。

・バリュー、サイズ、収益性(Operating Profitability)、投資、モメンタム、ベータの6ファクターが対象。

・データはケネスフレンチ教授のデータベース。トップ30%とボトム30%のバリューウェイト・ポートフォリオ。

・直近1カ月を除く12カ月モメンタムによるタイミング戦略。

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クオリティファクターの定義

2017年02月05日

クオリティファクターがどんな定義で使われているのか見てみました。


〇 クオリティ・マイナス・ジャンクのリターンを公開しているAQRの定義

収益性(profitability)、成長性(growth)、安全性(safety)、利回り(payout)の4つの面から構成とのこと。複雑です。

・収益性
総利益/総資産(gross profits over assets)、ROE、ROA、キャッシュフロー/総資産、売上高総利益率、利益の中のキャッシュの比率?(the fraction of earnings composed of cash)

・成長性
収益性の5年成長率

・安全性
低ベータ、低固有ボラティリティ(low idiosyncratic volatility)、低レバレッジ、低い破産確率、低いROE変動率

・利回り
株式数と負債のネットの変化(Equity and debt net issuance)、トータル・ネットの株主への利益還元率(total net payout over profits)




〇 S&P 500® QUALITY INDEX

ROE、アクルーアル、財務レバレッジ(負債/株主資本)の3つのファンダメンタル指標。

・アクルーアルレシオ
ネットの営業資産の変化率を過去2年の平均で割る?
This is computed using the change of a company’s net operating assets over the last year divided by its average net operating assets over the last two years


〇 iShares Edge MSCI USA Quality Factor ETF

ROE、利益の安定性(earnings variability)、負債比率(debt to equity)の3つの指標。


〇 iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ 150インデックス

高ROEかつ、①財務健全性(有利子負債÷総資本)、②キャッシュフロー収益性(営業キャッシュフロー÷事業用資産)、③利益安定性(当期利益過去5年標準偏差÷自己資本)に着目。


基本的にROE系の収益性指標と、負債比率のような財務健全性指標は入っているようです。あとは、利益の安定性、キャッシュフローやアクルーアルなどの利益の質といった項目も多いみたいです。
株主への利益還元率(配当&自社株買い&負債の変化)などはバリューファクターと被ってくる気がしますね。

ROEは有効なのか

2017年01月26日

ROEが高い銘柄ほどリターンも良いというのが収益性ファクター(このファクターの定義はいくつかあるみたいです)ですが、個人的にはちょっと違和感を感じていました。
というのも、僕が株を始めたころROEは投資の役に立たない指標だという話を何度も読んだからです。

そんなわけで、この指標のリターンについてもう少し調べてみました。
まずはケネス・フレンチ教授のHPからダウンロードした Operating Profitability のリターンをグラフにしてみます。バリューウェイトポートフォリオ、5分位グループの月次リターンです。

ちなみにここでの Operating Profitability の定義は annual revenues minus cost of goods sold, interest expense, and selling, general, and administrative expenses divided by book equity となっています。経常利益を使ったROEに近い感じです。



グラフを見ると確かにROEの高い銘柄ほど成績が良くなっています。
ただし、成績の違いが明確になったのは80年代後半以降で、それ以前は(グラフではわかりにくいですが)第1、第3、第5グループはほぼ同じリターンです。

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5ファクターモデルの世界と日本での有効性

2017年01月23日

The Five-Factor Fama-French Model: International Evidence

ファーマとフレンチの5ファクターモデルの有効性を国際市場で検証しています。
対象国は23か国で、北米、ヨーロッパ、日本、アジア太平洋の4地域に分けてリターンを調べています。全銘柄を統合したグローバル市場での成績も載っています。
検証期間は1992年7月~2014年12月です。

各地域における、サイズ(SMB)、バリュー(HML)、収益性(RMW)、投資ファクター(CMA)の月次リターンは下のとおりです。バリュー、収益性、投資の各ファクターは小型株と大型株の成績も書かれています。



サイズは北米のみ有効です。

バリューはすべの地域でかなりのリターンですが、北米のみ統計的に有意ではありません(t値が2を下回る)。日本のバリュー効果は最も大きくなっています。
小型バリューは北米を含めたすべてのマーケットで有効です。一方で大型バリューでt値が2を超えているのは日本のみです。

収益性は日本を除く地域でプラスのリターンですが、グローバルを含むすべてのマーケットで統計的に有意ではありません。日本のリターンはマイナスです。

投資はすべての地域でプラスのリターンですが、t値が2を上回っているのはグローバルとヨーロッパのみで、他の3地域はt値が2を下回っています。

5ファクターモデルの国際市場の結果はおおむねアメリカでの検証結果に近いとのことですが、収益性ファクターと投資ファクターの有効性はいまひとつ低く、逆にバリューファクターの効果はかなり強くなっています。
日本は、他の地域と違い収益性ファクターがマイナスリターンの一方でバリューファクターが非常に有効という結果です。

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スマートベータのリターン

2017年01月07日

S&Pがスマートベータ指数のリターンを発表しているのを見つけました。アメリカの市場かつ1999年~2014年と期間が短いのが残念ですが、直近のリターンとして参考になるかなと思いました。



S&P500均等加重はサイズの代替のようです。最近流行の低ボラティリティとクオリティも掲載されています。

リターンは、モメンタムを除いてどのファクターもS&P500を2倍以上も上回っています。低ボラティリティはリターンが高いうえにボラティリティも低いということで人気化している理由がよくわかります。

モメンタムは2000年以降はあまり機能していません。モメンタムが機能するのは完全に行動ファイナンス的なアノマリーが理由だと思うので、今回のように突如効果がなくなると厳しい気がします。
バリューであれば割安がますます割安になったとか、配当が高いとか、いろいろと慰めようがありますが。

小型株効果

2016年08月15日

小型株効果にいくつか読んだのでまとめます。


○ 全体的な議論

A literature review of the size effect という文献では、小型株効果についてこんな感じに書かれています。

・小型株効果は1981年に初めて報告されたが、1980年代初め以降のアメリカ株、1980年代後半以降のイギリス株では効果が弱まっているか消え去ってしまっている。グローバル市場でも同様の結果。

・小型株効果をリスクで説明する説が最初に出されたが結論は出ていない。現在は小型株効果そのものに疑問がある状況。小型株効果を流動性リスクで説明する説は有望。

・小型株効果は超小型株に集中している。

・小型株効果は1月に片寄っている。ただしこの傾向はイギリスでは見られない。


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日本株のサイズ・バリュー・モメンタム効果

2016年06月13日

ケネス・フレンチ教授のデータベースにある日本株のサイズ・バリュー・モメンタムのリターンをグラフにしてみます。
サイズとバリューのリターンは1990年7月から、モメンタムは11月からです。



・Mkt-RF・・・マーケットのリターン-リスクフリーレート

・SMB・・・スモール・マイナス・ビッグ。時価総額の上位90%と下位10%のロングショート。小型株効果です。

・HML・・・ハイ・マイナス・ロー。PBRの上位30%と下位30%のロングショート。バリュー効果。

・WML・・・ウィナー・マイナス・ルーザー。直近1か月を除く過去12か月のリターンの上位30%と下位30%のロングショート。モメンタム効果。

一目見てわかるようにバリュー効果が圧倒的です。モメンタムはほぼニュートラル。サイズはマイナスとなっています。
ただし、バリューはリーマンショックのころから横ばいで推移しています。そこで2009年(2008年12月を100とする)以後のリターンもグラフにしてみます。

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