投資家が大切にしたいたった3つの疑問

2015年06月26日



PSRの発案者として有名なケン・フィッシャーの本です。
ケン・フィッシャーは成長株への長期投資で有名なフィリップ・フィッシャーの息子ですが、彼自身長期にわたり資産運用の世界で平均を上回る成績を残してきたそうです。また、自力で築き上げた資産によりフォーブス誌の「最も裕福な米国人400人」に入っているとのこと。

この本の主題はたったひとつ、株式市場で勝つには「他人の知らないことで、あなたが知っていることは何か?-自分だけの優位性とは何か?」を知らなければならないというものです。
フィッシャーによると、相場は現在知られている情報をすべて織り込むため他人が知っている情報をもとに売買をしても勝つことはできないそうです。効率的市場仮説ですね。しかし、彼はそこで話を終わりにせず、市場にはまだまだ知られていないことが多いため、それを知ることで平均を上回る成績をあげることができるという立場をとります。
この他人が知らないことを知るために、題名に書かれている3つの疑問を使おうというのが彼の主張です。

① 実際には間違っているが、私が信じているものは何か?
② あなたが見抜けても、他人には見抜けないものは何か?
③ 私の脳は、自分を騙して何をしようとしているのか。自分を見失わせるのか?

また、いったん機能する手法を見つけてもそれで終わりではありません。
フィッシャーは、市場の持つ効率性という特徴からいったん機能する手法もそれが広く知られてしまうと有効性を失ってしまうと言います。したがって長期にわたり市場を上回る成績を残したいのであれば、継続的に検証をして革新を進めていかなければならないそうです。

市場の効率性を訴えてインデックスファンドを勧める本や、市場の非効率を訴えてファンダメンタル投資やテクニカル分析を勧める本は多いですが、全体として市場は効率的だが非効率を発見すれば勝つことができる(ただしその優位性もみんなが知ると消えてしまう)というスタンスの本は珍しいと思いました。個人的にはこの見方が現実世界をいちばんうまく説明しているように思えます。

問題は書き方にちょっとクセが強いかなと感じた点です。
この本は基本的にデータを使って客観的に検証すべしというスタンスで書かれていますが、少ないデータをもとに断定口調で言い切っていたり、検証の規準が緩く思えるものが多かったです。
たとえば、長期の相関が多少あることを著者も認めているのにPERの有効性はまったくないと断定していたり、それほど有効に見えない1枚のグラフを掲載しただけで株式益回りと債券利回りの比較が有効だと言い切っていたりします。また、著者が有効だとした指標が機能しないときはそのときは相場に織り込まれていたと(正しいのかもしれませんが)検証不可能なことを書いていたりします。

そんなわけで、この本の基本的な原則論はすごくためになりましたが、個々の内容についてはどれだけ信頼していいかちょっと判断しにくかったです。

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移動平均線を使ったタイミング戦略

2015年06月12日

前回は移動平均線を使ったタイミング戦略についてのレポートを紹介しましたが、現実世界ではそんなにうまく機能しないよという話もあります。

The Real-Life Performance of Market Timing with Moving Average and Time-Series Momentum Rules

論文らしく長いうえ内容が難しくよくわからない部分がありました。でも、どんな問題点が挙げられているのはわかります。
・移動平均線の数値が最適化されている可能性。
・現実世界で必要な手数料などの取引コスト。
・税金。
・対象期間。どの期間で見るかによってマーケットタイミングの成績は大きく変わる。具体的には、大恐慌、オイルショック、ITバブル崩壊、リーマンショックの4つの下げ相場で非常に良いパフォーマンスだが、それ以外の期間は概してバイ&ホールドを下回っている。

リンク先の検証では、アウト・オブ・サンプルテストとかちょっと複雑な方法を使ったり、シャープレシオで結果を評価していたりと直感的にわかりにくいところがありました。取引コストだけを加えた結果も税金を考慮した結果もありません。

そこでここでは1950年~2014年のS&P500の月足データ(YahooFinanceからダウンロード)を使って、バイ&ホールドと移動平均タイミング戦略のリターンをシンプルに比較してみます。
条件は、月足終値が移動平均線を下回ったときに現金化する戦略、現金時のリターンゼロ、配当含まず、というものです。

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A Quantitative Approach to Tactical Asset Allocation

2015年06月10日

10か月移動平均線を使ったマーケットタイミング戦略を検証した A Quantitative Approach to Tactical Asset Allocation を読みました。
戦略は非常にシンプルで、月足終値が10か月移動平均線を上回ったら買い、下回ったら売るというものです。たったこれだけでボラティリティや最大ドローダウンを抑えてリターンが向上するという内容です。

検証しているのは、1901年~2012年のS&P500、1973年~2012年のUS株・外国株・債券・REIT・コモディティとこれら5つの資産クラスのアセットアロケーション戦略、さらに対象資産を13に広げたアセットアロケーション戦略、モメンタムやレバレッジなどの組み合わせです。

正直、これほど単純な戦略に優位性があるというのは驚きでした。興味のある方は一読をおすすめします。内容的にもシンプルですし、図表が多用されており読みやすいレポートです。

以下はもう少し詳しいメモです。

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先行投資っぽい銘柄

2015年06月10日

売上高は伸びているものの、利益が減益か横ばいで、利益率が回復すれば割安感が出てきそうな銘柄です。


・2196 エスクリ

18%の経常減益予想。
新施設の開店のための減益予想だが、施設数の増加は2割程度でそこまで多くない。
過去5年の経常利益率9.3%を使うとPERは8~9倍くらいになりそう。
前期に減価償却費に係る会計方針の変更をして利益を嵩上げしていたとのこと。
全体的に成長鈍化している気がする。

  11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3
売上高 6,883 10,732 12,903 19,362 23,228 27,468
経常利益 596 1,015 1,177 1,813 2,352 1,923
純利益 351 659 738 1,101 1,439 1,197
             
売上成長率 31% 56% 20% 50% 20% 18%
経常成長率 51% 70% 16% 54% 30% -18%
経常利益率 8.7% 9.5% 9.1% 9.4% 10.1% 7.0%
             
店舗数 6 10 11 13 17 21
バンケット数 13 21 26 29 36 44~45


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その他の製造業の注目株

2015年06月07日

自動車部品、電気、機械以外で割安感を感じた銘柄です。
PER7倍台くらいの銘柄はありますが、今期予想の成長力はいまいちの銘柄が多いです。このままではもうひとつ魅力に欠けるかなといった印象です。ヤマウはPER5倍台で割安感があります。



※経常PERは、時価総額÷(今期予想の経常利益×0.6)で計算。
※経常PERの四半期は、直近四半期の経常利益と前年の進捗率から計算。例えば直近2Qの経常利益が1000で、前年2Qの進捗率が40%であれば今季の経常利益2500として計算する。
※四半期前年比は直近四半期決算の前年比の数字。
※借入は四季報オンラインの有利子負債の数字を使っており最新の数字ではない。

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機械系の注目株

2015年06月03日

機械系で割安感がありそうな銘柄です。
PER7倍台の銘柄はいくつかありますが、成長率の予想も低くいまひとつ面白みに欠けます。



※経常PERは、時価総額÷(今期予想の経常利益×0.6)で計算。
※経常PERの四半期は、直近四半期の経常利益と前年の進捗率から計算。例えば直近2Qの経常利益が1000で、前年2Qの進捗率が40%であれば今季の経常利益2500として計算する。
※四半期前年比は直近四半期決算の前年比の数字。
※借入は四季報オンラインの有利子負債の数字を使っており最新の数字ではない。

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電気系の注目株

2015年06月01日

電気系で気になる銘柄です。割安株はあまり見つかりませんでした。



※経常PERは、時価総額÷(今期予想の経常利益×0.6)で計算。
※経常PERの四半期は、直近四半期の経常利益と前年の進捗率から計算。例えば直近2Qの経常利益が1000で、前年2Qの進捗率が40%であれば今季の経常利益2500として計算する。
※四半期前年比は直近四半期決算の前年比の数字。
※借入は四季報オンラインの有利子負債の数字を使っており最新の数字ではない。

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