ROEは有効なのか

2017年01月26日

ROEが高い銘柄ほどリターンも良いというのが収益性ファクター(このファクターの定義はいくつかあるみたいです)ですが、個人的にはちょっと違和感を感じていました。
というのも、僕が株を始めたころROEは投資の役に立たない指標だという話を何度も読んだからです。

そんなわけで、この指標のリターンについてもう少し調べてみました。
まずはケネス・フレンチ教授のHPからダウンロードした Operating Profitability のリターンをグラフにしてみます。バリューウェイトポートフォリオ、5分位グループの月次リターンです。

ちなみにここでの Operating Profitability の定義は annual revenues minus cost of goods sold, interest expense, and selling, general, and administrative expenses divided by book equity となっています。経常利益を使ったROEに近い感じです。



グラフを見ると確かにROEの高い銘柄ほど成績が良くなっています。
ただし、成績の違いが明確になったのは80年代後半以降で、それ以前は(グラフではわかりにくいですが)第1、第3、第5グループはほぼ同じリターンです。

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5ファクターモデルの世界と日本での有効性

2017年01月23日

The Five-Factor Fama-French Model: International Evidence

ファーマとフレンチの5ファクターモデルの有効性を国際市場で検証しています。
対象国は23か国で、北米、ヨーロッパ、日本、アジア太平洋の4地域に分けてリターンを調べています。全銘柄を統合したグローバル市場での成績も載っています。
検証期間は1992年7月~2014年12月です。

各地域における、サイズ(SMB)、バリュー(HML)、収益性(RMW)、投資ファクター(CMA)の月次リターンは下のとおりです。バリュー、収益性、投資の各ファクターは小型株と大型株の成績も書かれています。



サイズは北米のみ有効です。

バリューはすべの地域でかなりのリターンですが、北米のみ統計的に有意ではありません(t値が2を下回る)。日本のバリュー効果は最も大きくなっています。
小型バリューは北米を含めたすべてのマーケットで有効です。一方で大型バリューでt値が2を超えているのは日本のみです。

収益性は日本を除く地域でプラスのリターンですが、グローバルを含むすべてのマーケットで統計的に有意ではありません。日本のリターンはマイナスです。

投資はすべての地域でプラスのリターンですが、t値が2を上回っているのはグローバルとヨーロッパのみで、他の3地域はt値が2を下回っています。

5ファクターモデルの国際市場の結果はおおむねアメリカでの検証結果に近いとのことですが、収益性ファクターと投資ファクターの有効性はいまひとつ低く、逆にバリューファクターの効果はかなり強くなっています。
日本は、他の地域と違い収益性ファクターがマイナスリターンの一方でバリューファクターが非常に有効という結果です。

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7419 ノジマ

2017年01月19日

○ 事業

中堅の家電販売量販店です。15年に携帯電話販売のITXを傘下にしてます。

店舗数と店舗数の推移は決算説明会資料に掲載されていました。
主力のデジタル家電専門店142店舗で安定して数を増やしています。キャリアショップは買収によって一気に店舗数を増やしました。







2016年のセグメントは、デジタル家電専門店運営事業が売上1,836億円・利益83億円、キャリアショップ運営事業が売上2,705億円・利益65億円となっています。

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実績PERと予想PERのどちらが有効なのか?

2017年01月18日

Dumb Alpha: Trailing or Forward Earnings?

アメリカのS&P 500銘柄、イギリスのFTSE 350銘柄、ユーロ圏のEuro StoXX 300銘柄、日本の日経225銘柄を対象に実績PERと予想PERの成績を比較しています。

対象期間は過去20年でPERの下位20%と上位20%の差を比較、予想PERの計算には機関投資家のコンセンサス予想を使用とのことです。

割安銘柄の割高銘柄に対する成績は以下のとおりで、4地域どれも予想PERの成績は実績PERよりも悪かったそうです。

・アメリカ 実績PER1.2%、予想PER-1%

・イギリス  実績PER10.1%、予想PER7.4%

・ユーロ圏 実績PER4.6%、予想PER3.5%

・日本 実績PER6.6%、予想PER0.6%

著者はこの原因をアナリストの予想精度の悪さのためとしています。アナリストは過度に楽観的で、特にマーケットセンチメントが良いときに(予測の難しい)グロース株で顕著であるとのことです。


正直、日本での予想PERの成績の悪さにちょっと驚きました。
アメリカで予想PERの成績が悪いというのは聞いたことがあったのですが、日本の場合は自社で業績予想を発表するので他の地域とは事情が違うと思っていました。

あと、確か「株式投資のための定量分析入門」という本だと記憶してますが、日本では予想PERの方が成績が良いという検証結果も見たことがあったので実績PERよりも予想PERの方を重視していました。
この記事は会社予想ではなくアナリスト予想を使っていますし、対象期間や銘柄も違うので単純に結論することもできないと思いますが、実際どちらの方を重視すればいいのだろうとちょっと迷います。

0902 華能国際電力

2017年01月16日

中国の大手電力会社の一角です(親会社が5大電力グループ)。

サーチナでPER4.5倍、配当利回り11倍というすごい数字だったので見てみました。華能に限らず中国の電力会社の配当利回りは非常に高いです。

業績はこんな感じです。2011年から売上は微減、利益は増加しています。
利益が伸びているのは石炭価格の下落が大きそうです。売上に占める燃料費は2011年の68%から2015年には46%まで低下しています。
世界経済のネタ帳さんで石炭価格の推移を見れますが、2011年から2015年まで下落したあと2016年後半に急騰しています。
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エマージングマーケットが魅力的

2017年01月16日

The Emerging Markets Hat Trick: Time to Throw Your Hat In?

現在(2016年12月)は以下の3条件が揃っており、エマージングマーケットへ投資するタイミングとして申し分ないとの記事です。

・魅力的なバリュエーション ・・・ リバウンドがあったとはいえMSCI新興国指数の現在のシラーPERは11.2倍。2008年の13倍よりも低い。

・落ち込んだ通貨 ・・・ 著者らの相対的購買力平価モデルによるとリバウンド後もUSドルに対して19%割安。これは1997年・98年のアジア危機(リバウンド後)やロシア債務危機と同じような水準であるとのこと。



・プラスのモメンタム ・・・ 12か月株価モメンタムは良い状態。著者らのモデルによるとマクロ経済モメンタムも改善中(平均よりもリスクが高い状態だが)。

9428 クロップス

2017年01月15日

○ 事業

東海地盤の携帯電話販売会社です。「au」専売で地域トップ級とのこと。
携帯電話販売以外には、ビルメンテナンス、飲食店舗賃貸、文具包装資材卸、人材派遣といった事業をしています。

セグメント売上・利益の推移は下のとおり。
2016年の決算では、主力の携帯電話販売の売上は全体の4~5割、利益は3分の1ほどです。文具包装資材卸、飲食店舗賃貸、ビルメンテナンスもけっこう大きいです。
成長率は飲食店舗賃貸が最も高く、売上は年3割ほど伸びています。なお2016年に文具包装資材卸が倍増していますが、これは会社合併があったためです。

移動体通信人材派遣ビルメンテナンス飲食店舗賃貸文具包装資材卸
売上利益売上利益売上利益売上利益売上利益
2012年11,6163792,116933,4001151,464183,533204
2013年13,1334072,115783,5251441,856493,680141
2014年13,9613472,149834,1242182,5281044,04283
2015年13,1641312,162454,2622053,2481564,28574
2016年14,7033102,176344,0531984,2272848,123161


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モメンタムで損失を回避する

2017年01月14日

Using Absolute Momentum to Positively Skew Calendar Year Returns という記事に10か月移動平均によるマーケットタイミングを使うと年次リターンがどれくらい変わるのかというグラフが掲載されていました。

バイアンドホールド(赤はリセッションがあった年、黄色は複数年にまたがるリセッションの最終年とのこと)。
リセッションの年はリターンが悪く、景気回復の初期にリターンが高いです。



マーケットタイミング(月の終値が10か月移動平均より上のときに株式、下のときに米国債券)。-25%を超える損失が無くなります。リバウンドも捕えているとのことですが、右端の大きな利益もやや減っているように見えます。



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為替レートの購買力平価からのかい離率

2017年01月10日

主要国の為替レートが購買力平価からどれくらいかい離しているかを見てみました。

データは、購買力平価(2015年)はOECD、為替レート(2016年12月末)はIMFから取得してます。12月のデータがない国はYahooファイナンスで数字を拾いました。



最近のドル高を反映して、対ドルで高いのは、スイス、デンマーク、ノルウェイ、オーストラリアの4か国だけになっています。
日本は-9.2%の円安。先進国では、イギリス(-13.5%)、ユーロ圏(-19.9%)、韓国(-26.2%)のマイナスかい離が大きいです。

一方で新興国の通貨は総じて高いマイナスかい離です。
これはバラッサ・サミュエルソン効果と思われ、1人あたりのGDPと購買力平価からのかい離率をグラフにすると先進国と新興国のグループにはっきり分かれます。



全体として見ると、先進国ではユーロ圏と韓国が、新興国ではトルコとロシアのかい離が大きい感じです。特にトルコリラは昨年からかなり暴落しており、1人あたりGDP(2万ドル)に比べてかい離率が高くなっています。

スマートベータのリターン

2017年01月07日

S&Pがスマートベータ指数のリターンを発表しているのを見つけました。アメリカの市場かつ1999年~2014年と期間が短いのが残念ですが、直近のリターンとして参考になるかなと思いました。



S&P500均等加重はサイズの代替のようです。最近流行の低ボラティリティとクオリティも掲載されています。

リターンは、モメンタムを除いてどのファクターもS&P500を2倍以上も上回っています。低ボラティリティはリターンが高いうえにボラティリティも低いということで人気化している理由がよくわかります。

モメンタムは2000年以降はあまり機能していません。モメンタムが機能するのは完全に行動ファイナンス的なアノマリーが理由だと思うので、今回のように突如効果がなくなると厳しい気がします。
バリューであれば割安がますます割安になったとか、配当が高いとか、いろいろと慰めようがありますが。



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