エピデミック・パンデミックと株価

2016年05月27日

2003年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2014年のエボラ流行時の株価の動きを調べてみました。


○ SARSとアメリカ・香港の株価

SARSは2003年に主に中国・香港で流行した感染症です。
WHOによると2003年7月に制圧宣言が出されるまでの感染者は8096名・死者は774名とのことです。アメリカでの感染者は27名・死者0名。日本での感染者は0名となっています。

致死率は感染者数と死者から単純に計算すると9.6%ですが、数字は国や年齢によって大きな差があるそうです。また、SARSの発症率が不明なことから正確な致死率を計算するのは難しいとのことです。

wikipediaによると、SARS流行の経緯は以下の感じです。

・2002年11月(広州市呼吸病研究所は7月と発表)に中華人民共和国広東省で発生。

・2003年2月にアメリカのビジネスマンが中国からシンガポールへ向かう飛行機の中で発症。着陸したハノイの病院で死亡。さらに治療にあたった医師や看護師にも感染。世界に大きく報道される。

・3月12日、WHOが世界規模の警報を出す。

・7月5日、WHOがすべての感染地域指定を解除する。

SARSの感染者数(数字はJOMF)と香港ハンセン指数・アメリカS&P500の推移が以下のグラフです。グレーのシャドーは、WHOがアラートを出してからすべての感染地域指定が解除されるまでの期間です。



2003年はITバブル崩壊の下落相場が終了した年でした。3月に底打ちしたアメリカS&P500はSARSの感染者数に関係なくほぼ一直線に上げています。
一方でハンセン指数の下落は5月まで続き、アメリカの株に後れを取っています。SARSの流行とつなげたくなりますが、実際のところどれくらい影響があったのかは不明です。

○ 2009年新型インフルエンザ(H1N1亜型)と日米株価

2009年春頃から2010年3月にかけて流行した新型インフルエンザです。流行初期の段階でメキシコの死亡率が高いことから注目されましたが、後の分析によると死亡率は通常のインフルエンザ並みでしかなかったそうです。
wikipediaによると、全世界の死亡者数は9933人、米国2370人、日本78人となっています。

WHOのアラートは以下のとおりです。

・2009年4月27日、WHOが警戒水準をフェーズ3からフェーズ4に引き上げる。

・4月29日、WHOがフェーズ5への引き上げを決定。

・6月12日、WHOが世界的流行病(パンデミック)であることを宣言。警戒水準をフェーズ6に引き上げる。

・2010年8月10日、WHOがフェーズ6からポスト・パンデミックへの引き下げを決定。世界的な大流行の終結を宣言。

日本とアメリカの株価と新型インフルエンザ死亡者数(数字はwikipediaより)のグラフです。株価はフェーズ4に引き上げられる直前の4月24日を100としています。また、フェーズ6に引き上げられた6月12日以後の期間をグレーのシャドーにしています。



グーグルトレンドで「新型インフルエンザ」と「flu」(英語版の新型インフルエンザは2009 flu pandemicだったので)を調べるとこんな感じのグラフになります。

・新型インフルエンザ。5月13日~17日がピークになっています。


・flu(地域でアメリカ合衆国のみを対象)。4月26日~5月2日がピークです。


検索がピークをつけたのは4月末から5月ですが、日米株価に大きな動きは見られません。インフルエンザ流行中は日経平均が秋から冬にかけて調整していますがS&P500はおおむね堅調に推移しています。


○ 2014年のエボラ流行とアメリカの株価

ギニアなどの西アフリカで感染が広がりました。wikipediaによると、2015年10月18日までに感染疑い例も含め28512名が感染し、11313名が死亡したとのことです。死亡率は40%となっています。
アメリカでの感染者は4人で1人が死亡、日本での感染はありませんでした。

各種資料から経緯を見るとこんな感じです(いくつかのサイトから拾っているので正確かはわかりません)。

・2014年3月21日、ギニアがWHOに対しエボラ出血熱のアウトブレイク発生を報告。

・6月23日、国境なき医師団が「制御できない状況だ」との声明を発表。

・8月8日、WHOが「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言。

・9月30日、米国で感染症患者が確認される。

・10月12日、WHOがセネガルてのエボラ出血熱感染の終息を発表。

・10月20日、ナイジェリアでのエボラ出血熱感染の終息を発表。

・2015年1月28日、WHOはエボラ出血熱が流行を終息させる段階に入ったと報告した。

エボラの患者数(数字はアメリカ疾病予防管理センター)とS&P500のグラフです。グレーのシャドーはWHOが「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言してから「流行を収束させる段階に入った」と報告するまでの期間です。



グーグルトレンドで「ebola」を調べた結果です。8月3日~9日が一度目のピーク、10月12日~18日が2度目のピークとなっています。



全体的に見ると株価は右上がりとなっていますが、エボラが流行していた時期のボラティリティが大きくなっているように見えます。また、偶然かもしれませんが2度の検索のピークと株価の落ち込みはかなり一致しています。


■ 感想

感染症は流行している期間が長いため、実際のところ株価にどれくらいの影響を与えているのかはよくわかりません。確かなことは何も言えそうにないです。
個人的な印象としては、全体の方向性を変えるほどの力はないけれど、多少のインパクトはあるのかなという感じを受けました。もし日本やアメリカがエピデミックやパンデミックの舞台となったら市場心理にかなり悪影響が出そうな気がします。




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