リチウムの需要と供給

2017年02月07日

EVの普及により需要増加が予想されるリチウムについてのメモです。


○ リチウム需要

What if I Told You … Lithium is the New Gasoline

ゴールドマンサックスのレポート。

・現在の需要は、炭酸リチウム換算(lithium carbonate equivalent)で年間160,000mt。
※リチウム1トンは炭酸リチウム換算(LCE)で約5.3トンとのことです。

・バッテリーEVの1%のシェア上昇はリチウム需要を年間70,000mtLCE上げると予想。

・普通の携帯電話は5~7グラムのリチウムLCEを使うが、テスラモデルSは63キログラム(携帯10000台分)を使用する。

・2025年までにEVのリチウム消費は11倍以上に増加すると予想(ゴールドマンサックスはEVのシェア22%を予想)。この需要だけでリチウム市場は現在の3倍に拡大する。

The Lithium Boom - An Analysis Of Future Demand Vs. Supply

こちらは2025年にEVのシェアが60%になり、60kWhの大型バッテリー(テスラモデルSのバッテリーは70kWh)が標準となるシナリオでの予測しています。
この前提では2016年の210ktLCEの需要が2025年に2,830ktLCE(うち2,430ktLCEがEVによる需要)まで拡大するとのことです。


前者は2025年に470ktLCEの需要、後者は2025年に2,830ktLCEの需要と、EV(とくにハイブリッドではないバッテリーEV)の普及をどう見積もるかによって需要予想は大きく変わってしまうようです。


〇 リチウム供給

リチウムのマテリアルフロー

JPGMECの2015年9月のレポート。

・リチウムの埋蔵量は、チリが全体の58%を占め、続いて中国の27%、オーストラリアの8%、アルゼンチンの7%。

・リチウム資源の埋蔵量は膨大であり、当面、供給リスクは少ない、とのこと。(埋蔵量1300万純分tに対して2013年の生産量は3万4千純分tになっている。)

・2013年のリチウム生産はオーストラリア(38%)とチリ(33%)が大きい。




The Lithium Boom - An Analysis Of Future Demand Vs. Supply

採掘会社のガイダンスから著者が供給予測をまとめてくれています。
それによると2016年~2020年にかけて供給は十分ですが、2020年~2025年にかけて(著者の需要予測をもとにすると)供給不足となるとのことです。
ただし、供給自体は2016年の211ktLCEから2025年の1,430ktLCEへと6~7倍に拡大しています。




リチウムの需給を検索すると、供給は十分であるという記事を結構見かけます。
上の表を見ても供給自体は大幅に増加するようなので、想定内のEVの普及であれば供給十分(あるいは過剰)という予想になるのかなと思います。
一方でガソリン車がバッテリーEVに急速に置き換わっていくという前提だと、爆発的なリチウム需要により供給が間に合わなくなりそうです。
結局のところリチウムの需給は、EVがどれくらい普及するかという予想次第となりそうです。


○ リチウム価格の影響

リチウム価格は昨年3倍に急騰しました。となるとリチウムイオンバッテリーの価格に与える影響が気になるところですが、カーネギーメロン大学のチームによるとリチウムのバッテリーコストに占める割合はとても低いため、リチウム価格が高騰しても大きなインパクトを与えることはないだろうとの話です。

LITHIUM MARKET FLUCTUATIONS UNLIKELY TO SIGNIFICANTLY IMPACT BATTERY PRICES






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