木材と金でマーケットタイミング

2016年07月23日

木材価格と金価格によるマーケットタイミング戦略を解説した Lumber: Worth Its Weight in Gold を読みました。

なぜ木材?と思ってしまいますが、これは木材価格がアメリカ景気循環の先行指標である住宅市場の活動に対して敏感に反応するからという理由です。
下のグラフはレポートに掲載されていた建築許可件数とリセッションのグラフです。60年代後半や2000年始めなどあまり一致していない時期もありますが、住宅市場と景気循環についてはよそでも取り上げているのを見るので、基本的には先行指標として機能しているのかなと思います。



もう一方の金ですが、こちらは景気循環と相関がなく、伝統的に安全資産という特徴を持つコモディティです。
株式市場や債券市場との相関も他のコモディティより低く(下のグラフは金とS&P500の時系列の相関値)、ボラティリティの高まりや株式市場の非常に大きなストレスに対するヘッジになるとのことです。



この木材と金という2つのコモディティの値動きを比べて、木材価格が強いときにはオフェンシブに、金価格が強いときにはディフェンシブに投資するという手法を提唱しています。

具体的なトレーディングルールは以下のとおりです。
・過去13週で木材価格が金価格を上回ったら、よりアグレッシブなスタンスをとる。
・過去13週でゴールドが木材を上回ったら、よりディフェンシブなスタンスをとる。
・週次で判断しなおす。


○ ディフェンス戦略

金価格が木材価格を上回ったときに、債券(BofA Mereill Lynch 5-7 Year Treas Index)、カバードコール、低ボラティリティインデックス、への投資に切り替える戦略を検証しています。

債券の場合は、大幅に低いボラティリティと最大ドローダウンを達成しつつS&P500に比べたリターンも年率1%ほど向上しています。
カバードコールと低ボラティリティの場合もリスクリターン比は向上していますが、最大ドローダウンは債券ほど減っていません。


○ オフェンス

木材価格が金価格を上回ったときに、小型株指数(ラッセル2000)、高ベータインデックス、シクリカルインデックス、への投資に切り替える戦略を検証しています。
どの戦略もリターンは向上していますが、ボラティリティも上昇しています。


○ ディフェンス&オフェンス

小型株と債券、シクリカル株と債券、に切り替える戦略を検証しています。
どちらもS&P500に比べて年率4%前後のリターンの向上とボラティリティの低下を達成しており、最大ドローダウンも-54.7%から-20%ほどに抑えられています。



ちなみにこの戦略のアルファをアップサイドとダウンサイドに分けると、ダウンサイドが63~66%の貢献となり、相対的にはオフェンス面よりディフェンス面の貢献が大きいとのことです。


○ 感想

木材価格をトレーディングルールに使うというのは斬新だと思いました。さすがに投資の本場だけあっていろいろいな手法を考え出しますね。住宅投資が景気循環のキーになるという話は他でも見るので理屈的にもきちんとしている気がします。

ただ、検証している期間が86年からでかなり短いのが残念です。2000年代は景気循環と株価がきれいに一致した時期に当たるので、この期間をメインにするとマーケットタイミング戦略に有利に結果が出るのではと思います。
また、切り替えの回数(Rotations/Year)が年7回近くあり、かなり頻繁に売買しなければならないのは好みがわかれそうです。




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