5ファクターモデルの世界と日本での有効性

2017年01月23日

The Five-Factor Fama-French Model: International Evidence

ファーマとフレンチの5ファクターモデルの有効性を国際市場で検証しています。
対象国は23か国で、北米、ヨーロッパ、日本、アジア太平洋の4地域に分けてリターンを調べています。全銘柄を統合したグローバル市場での成績も載っています。
検証期間は1992年7月~2014年12月です。

各地域における、サイズ(SMB)、バリュー(HML)、収益性(RMW)、投資ファクター(CMA)の月次リターンは下のとおりです。バリュー、収益性、投資の各ファクターは小型株と大型株の成績も書かれています。



サイズは北米のみ有効です。

バリューはすべの地域でかなりのリターンですが、北米のみ統計的に有意ではありません(t値が2を下回る)。日本のバリュー効果は最も大きくなっています。
小型バリューは北米を含めたすべてのマーケットで有効です。一方で大型バリューでt値が2を超えているのは日本のみです。

収益性は日本を除く地域でプラスのリターンですが、グローバルを含むすべてのマーケットで統計的に有意ではありません。日本のリターンはマイナスです。

投資はすべての地域でプラスのリターンですが、t値が2を上回っているのはグローバルとヨーロッパのみで、他の3地域はt値が2を下回っています。

5ファクターモデルの国際市場の結果はおおむねアメリカでの検証結果に近いとのことですが、収益性ファクターと投資ファクターの有効性はいまひとつ低く、逆にバリューファクターの効果はかなり強くなっています。
日本は、他の地域と違い収益性ファクターがマイナスリターンの一方でバリューファクターが非常に有効という結果です。

この論文にはサイズ5グループ×バリュー or 収益性 or 投資5グループの25ポートフォリオの成績も載っているので、日本の結果をグラフにしてみます。

・バリュー×サイズ

パッと見てわかるように、左のグロースグループほどリターンが低く、右のバリューグループほどリターンが高いです。
サイズ別に見ると最小サイズグループのリターンが高いことが多いのですが、規模が小さくなるほどリターンも上がるという直線的な関係にはなっていません。




・サイズ×収益性

高収益グループほどリターンが高いという傾向が見られません。最小サイズグループでは低収益グループの方がリターンが高くなっています。




・投資×サイズ

低投資グループの方がリターンが高い傾向があります。そこそこ一貫しているように見えますが、上で見たように全体としては統計的には有意ではないとのことです。




この論文には通期の損益曲線がなかったので、ケネス・フレンチ教授のデータベースから日本市場での各ファクターのリターンをダウンロードしてグラフにしてみます。
取得先は違うのですがAQRのサイトからクオリティファクターの月次リターンがダウンロードできるので、こちらも参考までにグラフに加えました。



最もリターンが高いバリューファクターですが、リーマンショック前後から成績が悪化しています。

2番手はクオリティファクターです。効果のない時期もありますが、それなりにリターンが出ている期間が多い感じです。年率に換算すると2.5%くらいのプレミアムとなります。

3番目は収益性ファクターですが、横ばいの期間が長く有効なのかはっきりしません。その他のサイズ、モメンタム、投資ファクターも良かったり悪かったりといった感じです。

日本市場で最も有効なはずのバリューファクターがリーマンショック以後にいまいち機能していないのが不安だったので、サイズ5グループ×バリュー5グループの25ポートフォリオから最小サイズグループ(左)と最大サイズグループ(右)の損益曲線を見てみます。



グロース銘柄が弱く、バリュー銘柄になるほどリターンが良くなるのはどちらも同じで一貫しています。
ただ、両者を比べると最小サイズグループのバリュー効果の方がきれいな直線になっており、かつリーマンショック後も安定して機能しているように見えます。
最大サイズグループのバリュー株はリターンが横ばいの時期が長くやや不安定な感じに見えます。


以上を見てきた感想としては、日本株は小型&バリュー&クオリティの組み合わせが良いのかなという感じです。
もちろんこの傾向が今後も続くとは限りませんが、小型バリューは世界的にも幅広く有効なので外れを引く心配は比較的低いのではと思います。
小型&バリュー&クオリティの組み合わせは個人投資家の定番なのでいまさら感はありますが。




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