ROEは有効なのか

2017年01月26日

ROEが高い銘柄ほどリターンも良いというのが収益性ファクター(このファクターの定義はいくつかあるみたいです)ですが、個人的にはちょっと違和感を感じていました。
というのも、僕が株を始めたころROEは投資の役に立たない指標だという話を何度も読んだからです。

そんなわけで、この指標のリターンについてもう少し調べてみました。
まずはケネス・フレンチ教授のHPからダウンロードした Operating Profitability のリターンをグラフにしてみます。バリューウェイトポートフォリオ、5分位グループの月次リターンです。

ちなみにここでの Operating Profitability の定義は annual revenues minus cost of goods sold, interest expense, and selling, general, and administrative expenses divided by book equity となっています。経常利益を使ったROEに近い感じです。



グラフを見ると確かにROEの高い銘柄ほど成績が良くなっています。
ただし、成績の違いが明確になったのは80年代後半以降で、それ以前は(グラフではわかりにくいですが)第1、第3、第5グループはほぼ同じリターンです。

次に「ウォール街で勝つ法則」も見てみます。1964年~2009年の全銘柄を対象にした10分位別の年率リターンが下のグラフです。



確かにROEが低いグループの成績が悪いのですが、明確にリターンが低いのは下2つのグループだけで上から6グループのリターンはそれほど変わらない感じです。

また、上位10%と下位10%の5年平均リターンの差の推移を見ると、70年代半ばから90年まではマイナスリターンが多く(高ROE銘柄のリターンが低ROE銘柄のリターンよりも悪い)有効に機能しているのはそれ以後の期間になってます。



さらに大型株に限るとROEの有効性は一段と落ちます。



著者の評価は、ROEはそれほど素晴らしい指標ではないけど、ROEの最も低い銘柄群を買うのは避けるのが賢明といったものです。

また、この本にはROAの成績も載っており、こちらは(全銘柄対象で)第1~第9グループのリターンはそれほど変わらず、ROAの最も低いグループの成績だけが極端に低いという結果です。



次に日本株ですが、最近読んだ「勝てるROE投資術」という本に検証結果が載っていました。期間は1999年~2014年、対象銘柄は東証1部銘柄のようです。

この本によると、実績ROEと1年後のリターンは下のように逆相関になっており、実績ROEが高いグループほど成績は悪く、実績ROEが低いグループほど成績が良くなっています。

第1群第2群第3群第4群第5群
実績ROE12.35.833.220.44-11.78
平均リターン0.530.580.640.80.89

高ROEグループよりも低ROEグループの成績が良いのはROEの変化幅や予想ROEを使っても同じとのことです。
唯一、予想ROEの変化幅を使ったときだけROEが有効に機能しているのですが、予想ROEの変化幅という指標は実質的には業績予想修正と近い性格の指標であろう、と著者は書いています。


で、僕の感想ですが、ROEやROAという指標はアメリカ市場でもバリューやモメンタムほどきれいに機能しているわけではないし、世界市場ではすごく有効というわけでもないし、日本市場ではむしろ逆効果になっているので、使うのであればクオリティファクターの1構成要素として使うのがいいのではと感じました。




最近の記事