リチウム生産会社

2017年03月24日

EVの普及に伴い重要性が増すと思われるリチウムを生産している会社についてのメモです。

現在ビッグ3とされているのは Albemarle、SQM、FMC で、これに中国の Tianqi や Gangfeng を加えたのが主要なリチウム生産会社ということになりそうです。
このほか新興企業では、Orocobre や Galaxy Resources がすでに生産を開始しています。

2015年9月の資料ですが、リチウムのマテリアルフローに主なリチウム供給地が掲載されていました。



Albemarle と SQM のアタカマ塩湖、FMC のオンブレ・ムエルト塩湖、Orocobre のオラロス塩湖、 Tianqi が買収したタリソンリチウムのグリーンブッシュ鉱山、Galaxy Resources のマウント・キャトリンが掲載されています。

なお、リチウムはかん水から生産する方法と鉱物として採掘する方法があり、かん水からの生産の方がコストが低いものの時間がかかる一方で、鉱物の採掘はコストが高いものの短期間で生産が可能とのことです。

チリ・ボリビア・アルゼンチンに存在する主なリチウム供給地の埋蔵量とグレードの一覧表もあったので貼っておきます。(出典元
最大の埋蔵量を誇るボリビアのウユニ塩湖はいまだ開発途上です。Albemarle と SQM のアタカマ塩湖はウユニ塩湖を除くと最大となっています。昨年から生産が始まっている Orocobre のオラロス塩湖も規模が大きいです。
そのほか Lithium Americas のカウチャリ塩湖、Galaxy Resources の Sal de Vida も大規模ですが生産はまだ始まっていません。





リチウム各社の今後の生産量予測は The Lithium Boom - An Analysis Of Future Demand Vs. Supply の中で一覧表としてまとめられているのでそれも貼っておきます。



現在生産を行っている会社は限られていますが、今後は新興企業が猛烈な勢いで生産を拡大していくことが予想されています。


各社の業績です。
まずはビッグ3を見てみます。ただ、ビッグ3といってもこの3社はいずれもリチウム専業ではありませんし、シェアも2004年の85%から2014年の53%に落ちているそうです。
いずれもSBI証券やマネックス証券で取り扱いがあります。

・Albemarle (NYSE:ALB)

アメリカの化学会社。2014年に Rockwood hodlings を買収したことでリチウムのトップメーカーになっています。
2016年の売上、営業利益、調整EBITDAは以下のとおりです。売上・EBITDAともにリチウムは最大のセグメントです。

(単位はドル)
売上 2,677M (うちリチウム968M)
営業利益 574M
調整EBITDA 758M (うちリチウム363M)
実績EPS 5.68ドル (うちContinuing operationsは3.90ドル)
予想EPS 4.18ドル (YahooFinanceより)

株価 104.25ドル
時価総額 11.97B
実績PER 18.35倍
予想PER 24.9倍


・Sociedad Quimica y Minera S.A. (NYSE:SQM) 

チリの肥料メーカー。チリのアタカマ塩湖で Albemarle と共同でリチウム生産を行っています。
2016年の売上は以下のとおり。リチウムセグメントは粗利益(Gross Profit)の55%を占めるとのことです。

(単位はドル)
売上 1,939M (うちリチウム514M)
税前利益 414M
実績EPS 1.06ドル
予想EPS 1.48ドル (YahooFinanceより)

株価 33.19ドル
時価総額 8.98B
実績PER 31.3倍
予想PER 22.4倍


・FMC (NYSE:FMC)

アメリカの化学会社。
2016年の売上と調整EBITDAは以下のとおり。現時点でのリチウムセグメントは上の2社よりもかなり小さいです。

(単位はドル)
売上 3,282M (うちリチウム264M)
営業利益 421M
セグメント合計利益 661M (うちリチウム70M)
実績EPS 1.56ドル (うちContinuing operations 1.81ドル)
予想EPS 3.39ドル

株価 59.6ドル
時価総額 8.0B
実績PER 38.2倍
予想PER 17.5倍


続いてリチウムの新興企業のうちすでに生産を開始している Orocobre と Galaxy Resources です。
なお、新興企業の多くはオーストラリア上場で日本の証券会社で取り扱いがないため、購入する場合は海外の証券会社に口座を持つ必要がありそうです。


・Orocobre (ASX:ORE、OTCMKTS:OROCF)

オーストラリアのリチウム専業の会社。
旗艦プロジェクトはアルゼンチンのオラロス塩湖(Salar de Olaroz)で66.5%の権益を持っています。パートナーは豊田通商(25%の権益)です。

このプロジェクトはかん水からの生産でありコストが低いとのことです。



2017年のガイダンスは年間生産量15ktとのことです。
また、現在のキャパシティは年間17.5ktですが、2019年までに年間35ktに拡大させる計画が発表されているそうです。

16年12月の四半期業績はこんな感じです。



Orocobre - Leading The Lithium Pure Play Miners In The Lithium Boom という記事で企業価値が推定されています。

2017年末の前提を年間生産量17.5kt、持ち分66.5%、リチウム価格10,000ドル/t、生産コスト2,500ドル/tで計算すると、純利益は63Mオーストラリアドル前後。

2019年末に年間生産量が35ktに拡大し、他の条件が上と同じだとすると純利益は91Mオーストラリアドル前後で、PER15倍で株価9.08オーストラリアドル。

現在の株価は2.88オーストラリアドルで、Google Finance によると時価総額は606Mオーストラリアドルです。


・Galaxy Resources (ASX:GXY、OTCPK:GALXF)

オーストラリアのリチウム専業の会社。
オーストラリアの Mt Cattlin、カナダの James Bay、アルゼンチンの Sal de Vida の3つのプロジェクトを持っています。

旗艦プロジェクトは Sal de Vida で2019年の生産開始を予定しており、2020年に年間35ktの生産量となる予定です。

現時点で生産しているのは Mt Cattlin で、2017年に150kt、2018年に200kt の鉱石を生産するとのことです。このレポートでは価格を850ドル~905ドル/tとしています(リチウム含有量による)。

同レポートによると、2016年は赤字、2017年の予想は売上212Mオーストラリアドル、EBIT115Mオーストラリアドルです。

現在の株価は0.505オーストラリアドル、Google Finance によると時価総額は995Mオーストラリアドルとなっています。

企業価値ですが、Galaxy Resources - An Excellent Way To Invest Into The Lithium Miners で推定がされています。

2020年の前提条件は以下のとおりで、PER15倍で2.32オーストラリアドルになるとのことです。
・Mt Cattlin の年間生産量200kt、James Bayの年間生産量150k、Sal de Vida の年間生産量25ktで権益66.5%(パートナー企業25%、政府持ち分8.5%を予想)。
・鉱石の価格は700ドル/t、コスト205ドル/t。
・LCE価格は10,000ドル/t、コスト2500ドル/t。




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