8699 澤田ホールディングス

2017年06月05日

HISの創業者である澤田秀雄さんの会社です。

モンゴルのハーン銀行、エイチ・エス証券、エイチ・エス債権回収といった子会社を持つほか、FXの外為ドットコムやロシアのソリッド銀行などを持ち株法適用会社にしています。
不動産会社のアスコットやエイチ・エス損害保険を売却したり、インデックスを買収したりと変化が激しいです。



子会社の純利益を見るとハーン銀行の割合がひとつ抜けています。その他では外為どっとコムの利益も大きいです。
エイチ・エス証券の純益は374百万円でしたが経常利益は133百万円です。ただ、2~3年前の証券セグメントの利益は1000百万円ほどあったので、市況が回復すれば利益も大きくなるかもしれません。

 16年  議決権 持分換算
ハーン銀行4,77354.4%2,597
エイチ・エス証券374100%374
エイチエス債権回収62100%62
外為どっとコム1,60740.1%645
ソリッド銀行-54340.0%-217
iXIT-260100%-260

基本的にはハーン銀行次第という感じなので、過去の業績をHPから抜き出してみます。
ちなみにハーン銀行はモンゴル国内に500店舗を超える支店ネットワークを有するモンゴル最大のリテール銀行とのことです。

(十億MNT) 12年  13年  14年  15年  16年 
営業収益 183252295345318
税前利益87122129136101
純利益7196108121104
総資産2,7964,8005,1165,1176,480
貸出1,7312,4462,9712,9133,092
預金2,0732,7732,7443,0053,975
純資産231335443564685

前期実績は減収減益でした。ただ、モンゴル経済が悪化していた時期としてはそれほど業績の落ち込みがないかなという印象です。
BSを見ると、総資産や純資産は増えていますが貸出は2年ほど横ばいです。

ハーン銀行の業績はモンゴル経済に左右されると思うので、モンゴル経済についても見てみます。
各種の経済指標はモンゴル経済概況というジェトロの資料にまとめられていました。いくつか特徴を抜き出すと、

・最大の産業は鉱業で経済全体の約20%を占める。

・最大の輸出先は中国で輸出額の約80%程度。

・主要な輸出品は銅で、石炭や金が続く。



輸出先の大部分が中国で主要輸出品の銅や石炭の価格を左右するのも中国ということになるため、モンゴル経済は中国経済に強く依存していると言えそうです。

経済成長率を見ると、リーマンショックの2009年とここ2年(2015年と2016年)の成長率が0%前後まで落ち込んでいます。



近年モンゴル経済が苦しんでいる背景は苦境からの脱却を課題とするモンゴル経済に書かれています。

・モンゴルは世界金融危機のときにIMFから財政支援を受けたが、その後の資源価格の回復によって苦境を脱した。

・その時期に多くの外国資本が流入しインフラへの需要が高まったため、多大な資金が国際金融市場から調達された。

・ところが中国経済の減速と資源価格の下落によってモンゴル経済は再び低迷する。対外債務の償還が迫り債務危機の不安が高まる。

・2015年6月末の対外債務残高は2014年名目GDPの180%に相当、そのうち公的対外債務残高は2014年名目GDPの93%に相当する。

・モンゴル政府および政府系銀行の外貨建て債務の償還スケジュールによると、2017年から2018年にかけて21億ドル相当が償還予定となっている。(モンゴルの名目GDPは約100億ドル)

以上の経緯から債務危機の不安が高まっていましたが、2017年2月にIFMによる支援が行われることが決まっています。その他の日中韓やアジア開発銀行の支援も合わせると金額的には十分で債務不安も払拭されそうです。以下は日経新聞の引用です。

モンゴル政府は19日、国際通貨基金(IMF)から4億4千万ドル(約500億円)の融資を受けることで合意した。銅など主力の資源輸出が低迷して財政が悪化し、対外債務の返済が苦しくなっていた。日中韓やアジア開発銀行(ADB)の支援も取り付け、総額は約55億ドルに達する見通し。IMF管理下で歳出削減など財政健全化を進め、経済危機の克服を目指す。


ただ、記事にもあるように今後は緊縮財政が予想されるため、経済が低迷するのではという不安もあります。モンゴルがうまく乗り切れるかは結局のところ資源価格にかかってくるのではないかなと思います。


〇 業績

 売上高 前年比経常利益前年比 純利益 経常利益率
 11年3月 17,16529%1,99525%-44812%
12年3月25,67850%5,241163%1,67920%
13年3月28,66112%5,200-1%3,01618%
14年3月43,56652%9,31179%6,00521%
15年3月45,3294%9,9076%6,52722%
16年3月55,27022%9,9571%6,70118%
17年3月46,374-16%6,843-31%5,59115%
※2017年の非支配株主に帰属する当期純利益は2494百万円。
※純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。少数株主利益があるのに純益が大きいのは特別利益に投資有価証券売却益があるため。

前期実績は、売上高-16%の減収、経常利益-31%の減益でした。

セグメント利益を見ると、主力の銀行関連が8,397百万円から5,352百万円大幅の減益となったほか、証券関連も575百万円から90百万円に落ちています。

銀行部門の減益の原因として、モンゴル経済の低迷、資金調達費用の増加、通貨安、為替ヘッジを目的とするスワップ取引の評価損、などを理由に挙げています。

ただし、同時に発表したハーン銀行の17年1Qは1~3月期としては過去最高の利益でした(ハーン銀行の1Q決算は澤田HDの2018年3月期に反映されます)。


〇 財務

現預金 67,147百万円

短期借入金 1,633百万円
1年以内の長期借入金 37,740万円
長期借入金 44,377百万円

銀行や証券がメインのためBSはわかりにくいです。


〇 指標

・株価949円、発行済み株式数40,953,500株 自己株式1,324,787株、時価総額(自己株式除く)37,608百万円

・実績PER6.7倍。(有価証券売却益あり。前々年の有価証券売却益のない純利益と同じくらいの水準)

・配当10円。利回り1.05%。

・株主優待 優待ポイント100株で1000ポイント(株主優待ウェブサイトに掲載する商品カタログの商品と交換可)。

・発行済み株式数の推移(マイナスは自社株買いなどで減少) 2015年±0%、2016年-1.1%、2017年±0%。ほぼ変動ありません。


○ その他

・株主 筆頭株主は創業者の澤田秀雄で25.9%。資産管理会社の秀インターも2.6%保有。

・大量保有報告書 個人の名前は出ていません。2014年以降はフィディリティの名前があるだけです。

・東証1部昇格 ジャスダック銘柄。株主数2,992名で時価総額や流通株式数も問題ないように思います。


〇 感想

2~3年前の利益を確保できればPERは7倍程度とかなり低いと思います。新興国のモンゴル経済への投資ということで成長性もあります。
モンゴルの債務危機が一段落したことや、ハーン銀行の1Q決算が良かったのもプラス材料かなと思います。

マイナス点としては、新興国の中でも脆弱そうなモンゴル経済への不安感、銀行という評価のしにくい業種であることでしょうか。

バリュエーションには割安感があるので、銅や石炭価格の上昇が続いてくれればある程度安心して投資できるかなと思います。




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