9517 イーレックス

2017年05月25日

〇 事業

電力小売り、卸売り、発電の会社。代理店を通じた電力小売り、自社保有のバイオマス発電所が特徴です。

自社の発電所や他社電源・JEPXを通じて電気を調達し代理店を通して小売り、余った電気はJEPXを通じて卸売りという構図てす。



自社保有のバイオマス発電所は、2013年に稼働した発電出力20MWの土佐発電所と2016年11月に稼働した発電出力50MWの佐伯発電所(出資比率70%)です。

その他、20年3月期以降に大船渡と豊前に発電出力75MWのバイオマス発電所を稼働させる予定となっています。大船渡は35%出資でイーレックスが全量を販売、豊前は65%出資で全量を九州電力に販売するそうです。
また、21年3月期以降にも2つのバイオマス発電所を計画中とのことです。



ちなみにフィスコのレポートによると、現状は土佐・佐伯で発電した電力が顧客需要を上回っているためJEPXでの卸売りにまわっているとのことです。これが小売りで解消できるようになるのは2019年3月期になるとみています。
小売りは卸売りよりも単価が高いため、小売りの割合が増えることで利益も上がることが期待できそうです。

今後の成長についてですが、電力自由化によって新規参入会社がどれだけシェアを取れるか、そのなかでイーレックスが競争に勝ち残れるかによると思います。

新規参入会社がどれだけのシェアを取れるかについては正直よくわかりませんでした。海外の事例から見る電力自由化後の日本の電力会社のあり方という資料を見ると海外の状況は各国でかなり異なってくるようです。
ただ、2017年2月の個人投資家向け説明会資料によると、新規参入した会社のシェアは現状で(特に低圧部門は)非常に低いので拡大余地自体は十分あるのかなと思います。



他社との競争については、家庭向けプランを比較してみたところイーレックスが際立って良いとは感じませんでした。

このページに関東地方での東京電力との比較が載っていますが、イーレックスの提供するプランは従来の電力会社の基本プランと同じく基本料金+段階性の使用料金になっており、電力消費量にかかわらず安くなるというものです。
世帯当たりの1か月の電気使用量は資料によってバラバラなのですが(ここによる271kwh、ここによると428kwh)、単純計算すると基本料金を除く使用料金は前者の271kwhで月444円・年換算5333円、後者の428kwhで月1190円・年換算14278円安くなります。

しかしその他の業者を見ていくと、例えば東京ガスはガス自由化の危機感からかかなり割安な料金を提示しており、月140kwh以上ではイーレックスよりも安い料金となっています。
また、基本料金無料で使用料金1kwh=26円均一のloopでんき、5%割引を保証するHISのでんきなど特徴あるプランを提示する業者もいくつかあり、競争はかなり激しそうです。このような状況でイーレックスが順調に顧客を獲得できるかはよくわからないと感じました。


〇 業績

 売上高 前年比経常利益前年比 純利益 経常利益率
13年3月12,428-12%1,164-14%6799.4%
14年3月15,31123%1,39019%8159.1%
15年3月17,07412%1,132-19%9226.6%
16年3月22,87734%1,61443%1,1127.1%
17年3月31,16736%3,21999%1,91710.3%
18年3月(予)50,34562%4,51240%3,0209.0%
(2017年の非支配株主に帰属する当期純利益は-147百万円)

前期実績は、売上高+36%の増収、経常利益+99%の増益と絶好調でした。期首予想と比べると売上高は-9%下振れ、経常利益は+31%の上振れです。
売上高が下回ったのは「燃料価格の下落に伴う燃料費調整額低下や卸売部門における日本卸電力取引所の取引価格下落の影響」とのことです。

今期予想は、売上高+62%、経常利益+40%と申し分のない数字です。
なお、会社は中期経営計画として3~4年後に売上高1000億円、営業利益率10%、ROE20%、自己資本比率40%、配当性向20%以上を目標として挙げています。


〇 財務

現預金 5,973百万円

短期借入金 3,300百万円
1年以内の長期借入金 1,389百万円
長期借入金 11,594百万円

ネットの有利子負債は2018年の予想純利益の3.4年分です。
減価償却費がそれほど大きくないこと、売上債権と未収入金の伸びが大きいことで、ここ2年の営業キャッシュフローは純利益を下回っています。


〇 指標

・株価1,112円、発行済み株式数50,553,000株 自己株式253,200株、時価総額(自己株式除く)55,517百万円

・予想PER18.4倍。経常利益ベース(経常利益×0.7)の予想PER17.6倍。

・予想EV/EBIT 14.6倍。

・配当10円予想。利回り0.9%。

・株主優待 なし

・発行済み株式数の推移(マイナスは自社株買いなどで減少) 2015年+24.5%、2016年+34.1%、2017年+20.1%。3年連続で大幅に増えています。


○ その他

・株主 上位10位比率62.5%(フィスコより)。経営陣の名前は上位株主にありません。

・大量保有報告書 2015年以降は個人の名前は出ていません。

・東証1部昇格 東証1部銘柄。


〇 感想

業績の伸びは申し分ありません。ビジネスがストック型というのも、(実際どうなるかはわかりませんが)拡大余地が大きそうなのも良いです。PERは18倍と低くはないですが成長率を含めて考えると割安感があると思います。
現在、株価は決算を受けてかなり売られています。中期経営計画がやや下方修正されているのかもしれませんが、PERは20倍を割っているので今後の決算で悪い数字が出てこなければ下値は限定的なのではと思います。

リスクとしてはまず資金調達の増資リスクがあります。ただ、フィスコのレポートによると大船渡・豊前の2プロジェクトの資金調達は完了しているとのことです。
あとは他社との競争によって顧客を順調に獲得できないリスクでしょうか。こちらは自由化が始まってまだ1年なのでもう少し様子を見ていくしかないかなと思います。




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