インデックス投資と個別株投資

2015年02月20日

株式投資を始めるにあたりパッシブ投資かアクティブ投資かという重要な選択をしなければなりません。

パッシブ投資は市場そのものを買うという考え方で、具体的にはTOPIXや日経平均といった指数に連動するファンドやETFを買います。何の知識がなくても市場平均のリターンを得ることができるというメリットがあります。

一方で、アクティブ投資は個別銘柄を選択することで市場平均を上回るリターンを目指します。一見こちらの方が主流に思えますが、アクティブ投資への批判として市場は効率的(または非効率があってもそれを利用するのが難しい)なので平均を上回るリターンを継続的に出すのは難しく、個別銘柄を選ぶのは無駄な努力だというものがあります。
僕は個別株投資をメインにしているので、アクティブ投資の魅力について少し考えてみます。


① プロのファンドマネジャーの成績はベンチマークを下回る

アクティブ運用のファンドマネジャーの成績がベンチマークを下回るというのは有名な話です。

たとえばいまちょっと検索してみたところ、Vanguard の The case for index-fund investing というレポートが2013年末までのアメリカの投資家が利用できるオープンエンドファンドの成績を調べていました。
年数やスタイル別に分類しており見にくいのですが、一例として10年の期間を見ると、サバイバーシップバイアス調整後では大型と中型のファンドの8割前後がベンチマークを下回っています。小型株ファンドはややましですが、それでも7割程度が負けています。ファンドがベンチマークを下回るのは3年でも5年でも20年の期間でも同じです。



アクティブ運用が市場平均に勝てないという結果は各所で見るので確かなのでしょう。
インデックスファンドを買っておけばこれらのプロの大部分を上回ることができるので、ファンドに投資する場合はインデックスファンドを買えばいいというのは良いアドバイスだと思います。


② 個別銘柄への投資がインデックスに劣るとはかぎらない

アクティブファンドの成績が悪いのは手数料が大きな原因です。
同レポートには、ファンドのコストが高くなるほどパフォーマンスが悪くなることがわかるグラフが掲載されています。また、文中にも expence ratio がファンドのパフォーマンスを予測できる最も信頼できる指標だという研究をいくつか紹介しています。



ちなみにレポートによると大型株のアクティブファンドの平均的コストは0.8%となっています。一方で冒頭のパフォーマンスの比較グラフによると、10年の期間ではサバイバーシップバイアス調整前の大型株ファンドのベンチマークに対するアンダーパフォーマンスは0.61%です。
アクティブ運用のファンドが平均を下回る原因がコストか腕なのかははっきりわかりませんが、パフォーマンス低下の大部分がコストによるものなのは確かだと思います。

コストはファンドを選ぶにあたっては重要な問題ですが、個人投資家が個別株を買うときには関係ありません。アクティブファンドがベンチマークを下回るからといって個人投資家がベンチマークを下回ることにはならないと思います。

マーケットは効率的なのでアクティブ投資で市場に勝つのは難しいのならば、アクティブ投資で市場平均を下回るのも難しいということです。個別株投資を勧める理由はなくとも、個別株投資を避ける理由もないはずです。


③ 個別株投資のメリット

・偏りのあるインデックスがある

市場全体を買うことで平均的なリターンを得る、というのは魅力的です。しかし、各種インデックスが市場の姿を正しく反映しているのかという問題があります。

たとえば日経平均株価が値嵩株に歪められているのはよく知られた話です。この指数は225銘柄から構成されますが、ウェイト順に見るとファーストリテイリングが10%前後、ソフトバンクとファナックが5%前後で、単に値嵩株というだけで3銘柄で全体の20%近くを占めており、市場の姿とかけ離れています。


・時価総額加重インデックスへの疑問

TOPIXは時価総額加重インデックスです。時価総額に比例して買うというのは市場の姿を反映しているともいえますが、これに対して等金額ウェイトのインデックスの方が成績が良いという話もあります。
アメリカにS&P500の構成銘柄を等金額に買うというインデックス Guggenheim S&P 500 Equal Weight ETF (RSP) があるのですが、2005年の上場以降のこのETFの成績はS&P500をかなり大きく上回っています。



時価総額加重インデックスが等金額ウェイトや「マルキールの猿」と言われるランダムなポートフォリオにも負けるという話の解説が時価加重インデックスへの疑問と「スマートファクター」 に書かれていました。このレポートによれば、成績の違いは基本的には小型規模ファクターとバリューファクターによるとのことです。


・バリュー株・小型株効果

上の話と関連してきますが、バリュー株や小型株のパフォーマンスは市場平均を上回るというアノマリーがあります。これには多数の研究があるようなのでかなり強固な傾向なのだと思います。

日本株でも、Russell/Nomura 日本株インデックスの79年12月以降のデータではスモールキャップ&バリュー株指数の成績がトータルマーケット指数を大きくアウトパフォームしています。



アメリカ株であれば手数料の安いスモールバリューETFがありそうですが、日本ではお手軽に変えるETFやインデックスファンドはないようです(モーニングスターでスモールバリューのインデックスファンドを検索しても一件も出てきませんでした)。
バリュー投資で市場平均を上回ることを目指すというのは魅力的な戦略だと思います。


・超小型株への投資

ウォール街に勝つ法則によると、小型株の中でも時価総額2500億ドル(30億円程度)以下の超小型株のパフォーマンスが非常に高い(リスクも高い)ものの、流動性やスリッページなどにより現実的には投資不可能であると書かれています。



これは機関投資家にとってはそうですが、個人投資家にとってはやや低いハードルだと思います。実際に100万円200万円であれば問題なく買える30億円以下の銘柄というのは多いです。


・小型株の世界は大型株の世界とは別物

市場は効率的といっても、すべての市場が一様に効率的というわけではないと思います。
たとえばカンボジアやベトナムの市場はアメリカの市場よりも非効率でしょうし、同じアメリカの市場でも小型株は大型株よりも非効率でしょう。効率性はその銘柄を取引している投資家の人数や質によって変わるはずです。

個人投資家が好んで取引する銘柄は主に小型株ですが、これらの銘柄は規模が小さいためプロの機関投資家が買うことができない銘柄が多いと思います。
一流の大学を出てフルタイムで努力しているプロに勝てるのかという話を見ることがありますが、そもそも小型株の世界ではそういったプロが相手ではなく(あるいは流動性の問題でプロが著しく不利な戦いになっている)個人投資家が互いに争っているのが実情ではないでしょうか。このような場合、優れた投資家であれば利益を得られる可能性が大型株マーケットよりも高いはずです。自分が優秀かどうかはわからなくともチャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。


・大当たり

インデックスファンドに投資した場合、短期間で5倍10倍になることはないでしょう。しかし個別株ではそのようなことも起こります。もちろん逆に資産を大幅に減らしてしまうこともあるわけですが、資金が少ないうちであれば、コツコツインデックスファンドを買うよりもすべてを失ってもいいから短期間で10倍を目指すという考え方もありだと思います。





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