Global Investment Returns Yearbook 2015

2015年03月07日

クレディスイスのHPで2015年の Global Investment Returns Yearbook が公開されています。

このレポートには、毎年3本の分析記事と23ヵ国と3地域における1900年からの株式・債券・短期債のリターンのデータが掲載されています。
これまでに書かれてきた記事には、新興国市場の分析(長期リターン・ボラティリティ・アノマリーなど)、経済成長と株価リターン、インフレが資産価格にどんな影響を与えるのか、為替と株式・債券・インフレ、などがあります。興味深い話が多いですし、どれも多数の国の長期データを使って分析した内容でとても勉強になります。

毎年最初の2本の記事を書いているのはエルロイ・ディムソン、ポール・マーシュ、マイク・スタントンの3人で、彼らは「証券市場の真実―101年間の目撃録」の著者です。
ちょっと英語が難しいのですが、図やグラフが多くてそれを見るだけでもなんとなく見当がつきます。読む価値は十分にあると思います。

さて、2015年版ですが、Industries: Their rise and fall, Responsible investing: Does it pay to be bad?, Do equity discount rates mean revert? という3本の分析記事が掲載されています。正直いつもよりちょっとマイナーな話題かなと感じましたが、興味のある人には面白い内容だと思います。

○ Industries: Their rise and fall

産業の移り変わりやセクター投資の重要性について書かれています。

・投資するセクターによりリターンは大きく変わる。

・古い産業がいいのか、新しい産業がいいのかは、どれだけ期待や悲観が株価に織り込まれているかによる。どちらの産業もリターンをもたらす可能性があるし、失望をもたらす可能性もある。

・ただし、IPO銘柄は継続して悪いパフォーマンス。

・彼らのアメリカとイギリス市場についての調査では、セクターローテーション投資に有効性があった。リターンが良いセクターは次の年も良い成績というモメンタム効果あり。配当利回りor純資産倍率のバリュー効果もあり。

・多くの産業は特定の国に集中している。たとえばタバコ産業はアメリカとイギリスに87%を占められている。また、多くの国は特定の産業に片寄っている。47か国のうち42か国で上位3つの産業が時価総額の40%以上を占めている。よって分散化を考えるなら、投資家は自分の国だけに投資しているだけでは十分ではない。グローバリゼーションが進む中で、産業セクターを考えることの重要性が増している。


○ Responsible investing: Does it pay to be bad?

タバコ・アルコール・ギャンブルといった道徳的に問題のある会社への投資や、社会的責任投資のリターンといった話が書かれています。

・アメリカでもイギリスでもタバコ会社への投資リターンはマーケットを大きくアウトパフォームしている。タバコに限らず道徳的に問題のある会社への投資は平均を上回る傾向がある。グローバルで見てもこの傾向は同じ。

・2000年以降のデータでは腐敗認識指数が悪い14か国のリターンが最も良かった。ただし、データの都合で期間が短いし、この時期は新興国のリターンが良かった時期と重なる。

・アクティビズムは超過リターンをもたらしているという研究をいくつか紹介。大規模データを使った研究では、環境/社会的アクティビズムとコーポレードガバナンスのアクティビズムは同じようなリターンだった。また、失敗した案件も企業価値を壊すわけではない。

・道徳的に問題のある産業を避けることは分散化の効果を減らす。ただし、少数の産業であれば影響は小さい。

・高い基準の社会的責任を持つ会社への投資がリターンを生むという研究がある。しかし、それらの会社が高区評価さされると超過リターンは消失してしまう。


○ Do equity discount rates mean revert?

株価バリュエーションの平均回帰についてです。クレディスイスの計算している株式のディスカウントレートを分析すると、12か月の期間では平均回帰が成り立っているようだが、1か月の期間ではほぼランダムウォークに近く、ディスカウントレートを使った近い将来の予想は難しいといったことが書かれています。





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