A Quantitative Approach to Tactical Asset Allocation

2015年06月10日

10か月移動平均線を使ったマーケットタイミング戦略を検証した A Quantitative Approach to Tactical Asset Allocation を読みました。
戦略は非常にシンプルで、月足終値が10か月移動平均線を上回ったら買い、下回ったら売るというものです。たったこれだけでボラティリティや最大ドローダウンを抑えてリターンが向上するという内容です。

検証しているのは、1901年~2012年のS&P500、1973年~2012年のUS株・外国株・債券・REIT・コモディティとこれら5つの資産クラスのアセットアロケーション戦略、さらに対象資産を13に広げたアセットアロケーション戦略、モメンタムやレバレッジなどの組み合わせです。

正直、これほど単純な戦略に優位性があるというのは驚きでした。興味のある方は一読をおすすめします。内容的にもシンプルですし、図表が多用されており読みやすいレポートです。

以下はもう少し詳しいメモです。

○ 条件
・月足終値が10か月移動平均線より上であれば買い、下であれば売る。
・月の最終日に売買(それ以外の株価は無視)。
・キャッシュ期間のリターンは90日Tビル。
・配当込み。税金、手数料、スリッページは含まない。バイ&ホールドと比較すると、実際の運用で税金は大きな問題になる。
・10か月移動平均線を使うのは、もっともよく使用されるのが200日移動平均線という理由だそうです。GATTでは移動平均線に3カ月、6カ月、9カ月、12カ月を使った検証もしていますが、どれもシャープレシオを向上させています。


○ S&P500 (1901年から2012年)

タイミング戦略はバイ&ホールドを上回るリターンを低いボラティリティと小さい最大ドローダウンで達成しています。



比較チャート。大恐慌やITバブル崩壊やリーマンショックといった大幅下落の時期をうまく回避しています。




○ GLOBAL TACTICAL ASSET ALLOCATION (1973年~2012年)

US株式、外国株式、債券、不動産、コモディティの5つの資産クラスにそれぞれ20%ずつ配分。すべての資産クラスが10か月移動平均線より上にあればポジションは100%となります。
リターンもバイ&ホールドより上ですが、素晴らしいのはボラティリティと最大ドローダウンが1桁に落ち、年間マイナスも1回(-0.59%)しかないところだそうです。




○ アセットクラスを13種類に拡大

US株の20%を大型バリュー・大型モメンタム・小型バリュー・小型モメンタムそれぞれ5%ずつに、海外株式の20%を先進国・新興国それぞれ10%ずつにといった感じで下位の資産クラスを追加しています。



結果がこちら。ボラティリティと最大ドローダウンがやや上がりましたが、リターンとシャープレシオは向上しています。




○ キャッシュを10年国債で運用

リターンが1.37%上がっています。債券ベアの1973年~82年でも同じような成績が出るそうです。




○ ウェイトストラテジー

債権比率を40%に高めたコンサバ、通常戦略のモデレート、レラティブストリングス(1、3、6、12カ月モメンタム)の上位3資産または6資産を使うアグレッシブ、最大ポジション200%のレバレッジ2倍を比較しています。

アグレッシブとレバレッジのリターンが大幅に向上しています。ただ、ボラティリティと最大ドローダウンも大きく上がっているのでシャープレシオは通常戦略とそれほど変わりません。







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