グローバル市場でのCAPEレシオの有効性

2016年04月05日

○ CAPE: Predicting Stock Market Returns

各国のCAPEレシオをHPに掲載しているStarCapitalのレポートです。

米国のデータは1881年~2013年の期間で、CAPEレシオの標準レンジは10~24倍、過去の平均値は16.5倍とのことです。このレンジを上回った場合はその後15年~20年の期間で実質リターンは低く、逆に下回った場合はリターンは高くなるとのこと。

グローバル市場での検証は、1979年~2013年の期間、アメリカを含む15か国です。
CAPEレシオの平均値は17.5倍、8倍以下と割安な国のそれに続く15年間の実質リターンは13.1%、32倍以上と割高な国の実質リターンは0%。
長期的に見れば、割安なCAPEレシオのその後のリターンは高く、割高なCAPEレシオのその後のリターンは低くなるとの話です。



○ Global Value : Building Trading Models with the 10 year cape

Mebane Faberの2012年のペーパーです。著書の Global Value と重なる部分が多いので、CAPEレシオのパフォーマンスの場所をメモします。

まずはアメリカ株のCAPEレシオとその後の実質リターンの表です。1年、3年、5年、7年、10年の期間のリターンが掲載されており親切です。期間を問わずうまく機能しています。



グローバル市場は32か国、1980年~2011年の期間におけるCAPEレシオと実質リターンを調べています。データは、1980年に約10か国、1990年に20か国、2000年に30か国とのこと。



CAPEの平均は15~20倍で、下は7倍、上は45倍くらいになるそうです。低きを買って、高きを売れ、という結果。


○ Does the Shiller P/E Work in Emerging Markets?

先進19ヵ国、新興16ヵ国、合計35か国での検証。2012年の論文です。
USやUKは戦前からの長期データ、日本は1966年から、フランスやドイツといった先進国は1980年前後からが多いです。新興国のデータは2000年前後からの国が半分以上となっています。

下のグラフは、シラーPEとそれに続くリターンがどれくらい相関しているかというものです。X軸が投資期間、Y軸が相関係数になっています。
先進国・新興国ともに投資期間が60か月(5年)以下では中くらいの相関ですが、それ以上の期間はだいたい0.7くらいの値になるそうです。



10年実質リターンとの決定係数(R2)は下の表のとおり。0.2以上の国が多く、多くのモデルの説明力が20%以下なのを考えるとシラーPEは最も信頼できるツールのひとつとのこと。



10年リターンを使うとデータの多くの部分に重なりが出てしまう問題があるため、著者らはパネル分析も行っています(どういう分析なのかは僕は知りません)。
結果を見ると、先進国では依然としてそれなりに高い数値ですが、新興国はかなり低くなっています。著者は、新興国の国ごとの差が大きいこと、データの量が不十分なことを理由に挙げています。データの量を増やすためリターンの期間を5年で分析すると説明力はそれなりに上昇するそうです。




(感想)

どれも手間のかかった労作だと思いますが、データの短さはやはり問題だと感じました。多くの国が1980年前後からで、新興国はさらに短いです。シラーPEの算出に10年かかり、リターンを10年で見るので、どうしても不十分さを感じます。




最近の記事