株価と為替の連動性

2016年03月07日

日本株と為替が連動して動くのは有名な話です。実感としてもそう思います。では実際にどれくらい連動しているのか。過去のデータをダウンロードして見てみました。


○ 株価と為替

まずは日経平均株価とドル円レートの1973年1月~2016年1月末までの推移です。為替レートは日銀から取得した月末値データです。

・1973年1月~2016年1月末


・2000年1月~2016年1月末


73年から95年半ばまではほぼ円高基調です。株価は89年まで一本調子に上げて、それ以後はバブル崩壊で下げています。この時期は株価と為替はあまり関係なく動いているように思えます。

90年代後半から2000年代初めですが、96年・97年・00年・01年の円安・株安、99年・03年の円高・株高など、現在の円安・株高&円高・株安と逆行した動きも多く起こっています。

為替と株価がきれいに連動するようになったのは04年以後のことです。

日経平均株価とドル円の年間騰落率を散布図にしたものが下のグラフです。両者に相関は見られません。



次に期間を1974年~2003年まで(左図)と2004年から2015年(右図)に分けてみます。2004年から2015年の期間はサンプルが少ないのですが、為替と株価がほぼ直線の関係になっています。



参考までに日経平均株価と実質実効為替レートのグラフです。
名目の株価と実質の為替レートを比べるのはちょっと問題あるのかなという気もしますが、こちらで見ても株価と為替がきれいに連動するのは04年くらいからです。




○ 1株あたり利益と為替

為替の変動は輸出や海外売上を通じて企業収益に影響を与えるはずです。では実際にはどれくらい連動して動いているのか。2000年以降のデータですが、日経平均株価の1株あたり利益と為替レートの推移を見てみます。

下のグラフは日経平均株価の実績EPSとドル円(左図)、実質実効為替レート(右図)の比較です。日経平均株価のEPSは日経新聞に掲載されている株価とPERから逆算した数字です。マイナスになった場合はゼロとしています。EPSが年間の数字なので為替レートも過去1年の月足の平均値としています。



両者は連動していると言えば連動しているように見えますが、為替レートに比べるとEPSの変動が大きいです。また、ドル円よりも実質実効為替レートの方がフィットしているように見えます。
ただ、02年~03年に実質為替レートがそれほど変わってないのにEPSがマイナスに落ち込んだり、10年~13年にかけて実質為替レートが横ばいもしくは円高傾向だったのにEPSは切り上がっているなど、両者の動きは必ずしも一致しているわけではないです。

次に予想EPSとドル円(左図)、実質実効為替レート(右図)も比較してみます。こちらも基本的には実績EPSと同じような傾向になっていると思います。



2000年~2015年の予想EPSとドル円(左図)、実質実効為替レート(右図)の散布図がこちらです。ドル円は微妙ですが、実質実効為替レートの相関は高いです。



以上のようにグラフにしてみるとEPSと実質為替レートはかなり相関しているように見えます。ただ、これは04年以後に景気循環と為替レートが連動して動いたのも大きいと思います(景気拡張期の円安、景気後退期の円高)。過去には円高・好景気や円安・リセッションもあったわけで、そういったケースが起こればEPSと実質為替レートはこれほど一致しないと思います。


○ 上場企業の海外売上高比率

為替レートが直接的に影響する海外売上高ですが、上場企業の海外売上高比率を検索してもぴったりくる資料が見つかりませんでした。
そこで四季報CD(16年新春号)でスクリーニングしたところ、日経平均株価構成銘柄の海外売上高比率の平均は56%となりました。ただし、この数字は海外売上高比率が記載されていない企業(金融、不動産、電力などに多い)を除いて計算したので実際はもっと低い値になると思います。

下の表はTOPIXコア30(日経平均構成銘柄すべてを転記するのは手間だったため)の海外売上高比率を抜き出したものです。
これだとデータのある会社の海外売上高比率の平均は59%で、データのない会社を0%として計算すると平均は39%になります。ただ、データのない会社でも三井物産や野村HDの海外売上高比率は低くないでしょうし、メガバンクも海外収益が3~4割ほどあるとのことなので、それらを考えるとコア30の海外売上高比率は平均で45~50%くらいになるのかなと思います。

日経平均やTOPIXになるとこの比率は多少は下がると思いますが、それでも海外売上高比率がこれほど高いと為替の影響はやはり大きくなってしまうのかなと感じます。






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