アセットアロケーションについての話

2014年10月27日

アセットアロケーションについて書かれた文章をいくつか読みました。
思ったより難しい内容が多く、英語力の不足から理解しにくい部分もありました。また、この種の細かい話がどこまで重要なのかなと疑問に思うところもあります。でもせっかく読んだのでとりあえず僕が理解したことを書いてみます。

まずアセットアロケーションについての議論の流れについては、アセットアロケーションはどれほど重要か? 20年の議論の軌跡がわかりやすいと思います。

日本語で読める解説は以下のページが見つかりました。
アセット・アロケーションの重要性とリバランス(上)
アセット・アロケーションの誤解を解く
ポリシー・アセットアロケーションの説明力

上でも書かれてていますが、「アセットアロケーションでX割決まる」とか「アセットアロケーションによってリターンのXX%を説明できる」とあるとき、いくつか異なる意味があります。
Does asset allocation policy explain 40, 90, 100 percent of performance? はこれを、アセットアロケーションはファンドのリターンの変化量の90%を説明し、ファンド間のリターンの差異の40%を説明し、ファンドのリターンの水準の100%以上を説明する、とまとめています。

our analysis shows that asset allocation explains about 90 percent of the variability of a fund's returns over time but it explains only about 40 percent of the variation of returns among funds. Furthermore, on average across funds, asset allocation policy explains a little more than 100 percent of the level of returns.



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株価の長期低迷期

2014年10月23日

株価が長期にわたり低迷した時期のチャートです。1989年からの日本株をアップデートし、1999年~2012年の米国株を加えました。
名目株価、実質株価、配当込み実質株価の3つをチャートにしています。


・S&P500 1929~1947年

1929年に株価が暴落した後、23年~36年にかけて戻しますが、37年から再び下落に転じ47年まで低迷が続きます。この時期はデフレ傾向だったので名目株価と実質株価は同じような値動きになってます。

配当込の株価は35年に元本を回復し、その後も多少の落ち込みはありますがリターンを伸ばしています。この期間は配当利回りが高いこともあり、配当再投資の効果が十分に発揮されています。





・S&P500 1966~1981年

インフレによる低迷期です。名目株価は横ばいで73~74年を除き余り下げていませんが、実質株価は16年で半分以下にまで落ち込んでいます。配当を含めても2割の下落です。インフレの厳しさが良くわかります。





・S&P500 2000年~2012年

2008年に底を打っていますが2012年(2013年の年初)までのチャートです。
2013年の年初の時点で名目株価はピークを抜けています。実質株価は25%ほど下ですが、配当込みの指数もピークをほぼ回復しています。

ITバブルの株価が比較対象とはいえ、21世紀のアメリカ株ですら12年も横ばいかマイナスが続くことがあるというのはなかなか厳しい現実です。

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・TOPIX 1989~2008年

デフレ傾向が続いていたため名目株価と実質株価はほとんど変わりません。また日本株は配当利回りが低いため、配当込みで見てもほとんど救われていません。

バブル崩壊から24年経っていますが、名目・実質株価はピークの5割以下に低迷しています。配当込でも4割近い下落です。2011年末の時点が底で名目・実質株価はピークの1/4しかありませんでした。

ただし、バブル崩壊直後の90~92年を除けば、この20年間は横ばいだったともいえます。あまり救いになりませんが。



※配当利回りは、97年までは財政金融統計月報2000年3月金融・証券特集、98年からは東証HPよりデータを取得しています。


経済成長と株式リターン

2014年09月24日

経済成長と株価リターンの関係について書かれたレポートをいくつか読んだので感想を書きます。

まず両者に関連があるかないかですが、プラスの相関があるというレポートもあれば、相関がないというレポートもあります。

よく見かけるのは、Dimson、Marsh、Stauntonの調査です。クレディスイスの Global Investment Returns Yearbook 2014 の中で21か国を対象に1900-2013年の長期データを使った結果が散布図にされています。

この調査によると、実質株価と実質GDP成長率はプラスの相関となるが、実質株価と1人あたり実質GDP成長率はややマイナスの相関になるそうです。

CSGI (17)

CSGI (16)

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GDP成長率ランキング

2011年06月11日

2009年までの10年間の実質GDP成長率(単純平均)のランキング。上位20か国のほか、主要国とアジア諸国を抜き出した。
データは国連のHPより取得。



・中東諸国
カタール、バーレーン、ウェート、イラン、エジプトなど、多数の国がランクインしている。ただ、中東諸国は原油依存のイメージがあるうえ、1人あたりGDPが高い国が多く魅力に欠ける気がする。イランやエジプトの1人あたりGDPは低い。

・アフリカ諸国
ナイジェリア、エチオピア、スーダン、ウガンダ、タンザニアなど、こちらも多数の国がランクインしている。所得も低く魅力的だが投資する手段がないのが問題。

・BRICs
中国、インドはさすが。ロシアも上位にいる。ブラジルの成長率はやや低い。

・VISTA
ベトナムとインドネシアの成長率が高い。アルゼンチンも5年で見ると高い成長率。

・その他
資源国はペルーの成長率が高い。南アフリカやオーストラリアも世界平均以上。
バングラディシュ、パナマ、スリランカといった小国もランクインしているが投資手段に問題ありそう。
東南アジア諸国は20位圏外の国でも底堅い数字となっている。


成長率が高く、1人あたりGDPが低く、投資手段に問題ない国となると、中国、インド、ロシア、ベトナムと東南アジア諸国、アルゼンチン、南アフリカあたりとなりそう。

政策金利と株価

2010年01月10日

■ 利上げ・利下げ期間の株価リターン

上のグラフは期間中のリターンで、下のグラフはそのリターンを年率換算したもの。下のグラフの一番右の「平均」が利上げ・利下げ全期間の年率換算リターンとなる。

X軸の年度は利上げが開始された年数。1回の利上げ&利下げをセットで1サイクルとしている。50年に金融引締が始まり、金融緩和を経て、55年に再び金融引締が始まったという趣旨。
ちなみに利上げ期間の合計は403か月で、利下げ期間の合計は348か月だった。それほど大きな偏りはない。

金利は、1993年3月末まで公定歩合、それ以後はFFレートを使用している。株価はロバート・シラー教授のHPからダウンロードしたS&P500の名目値を使用。いずれも月次データ。





1950年~2009年までの期間では、利上げ期間の年率リターンが2.8%、利下げ期間の年率リターンが11.7%だった。通説どおり、利下げ期間のリターンが圧倒的に良い。

しかし、2000年以降は事情が変わり、利上げ期間がプラスのリターン、利下げ期間がマイナスのリターンになっている。


1950年~2009年末までの政策金利と実質S&Pの推移が下のグラフ。政策金利と株価の関係については、こちらを見た方が直感的にわかりやすい。



1970年~2000年までの期間では、金利と株価がみごとな逆相関になっている。ただし、これは金利と株価の関係というよりもインフレと株価の関係と考えた方が妥当だと思う。

利下げが株価にプラスというのは直感的には納得しにくい。
政策金利を下げるのは景気が悪くなったからで、景気が悪ければ株価も下がると考えるのが普通だろう。2000年以降はまさにそのような動きになっているが、こちらの方が理屈としてはシンプルに感じる。

個人的な感想としては、金融政策は重要なシグナルのひとつではあるが、その神通力は、FRBへの信頼感、実際に景気がコントロールできるか、それまでの株価の値動き、などの要因に左右されるのではないかと思う。それほど絶対的とは思えない。



■ 利下げ・利上げ開始前後の株価

金融政策が転換し、利下げ・利上げが開始された月の前後1年間の株価の値動き。データは1950年以降の16回の平均値。
X軸のtが利下げ・利上げ月にあたる。棒グラフは単月の損益、線は累積の損益曲線。





利下げ開始は明確な強気シグナルになっている。利下げ開始後1年間のリターンは約15%ほど。

利上げを開始した翌月のリターンははっきりと悪い。ただ、3ヶ月後にはプラスに戻り、以後もプラスのリターンが続いている。利上げ開始前と開始後を比べると、株価の勢いは落ちてはいるがマイナスになってはいない。

日米の不動産バブルと株価

2010年01月06日

日米の不動産価格と株価の推移です。

・アメリカ 実質S&P500と実質不動産価格

シラー教授のデータによると、実質不動産価格は途中に凸凹はあるものの1990年代末までおおねむ横ばいで推移していました。
2000年代のバブルでは不動産価格は2倍に上昇、その後下落しています。バブル後の現在の不動産価格は長期の平均からは一段高い位置で下げ止まっています。このバブル崩壊では、リーマンショックもあり株価は大幅に下落しました。



※米国の不動産価格のデータはロバート・シラー教授のHPより。


・日本 実質日経平均株価と実質不動産価格

日本の不動産価格のデータは市街地価格指数を使いました。
6大都市・商業地を見ると、地価は80年代に5倍に暴騰しており、不動産バブルが起きたことが鮮明にわかります。一方で全国・全用途平均ではバブルの影響はわかりにくいです。むしろ60年代の値上がりの方が大きいように見えます。
日本の場合は不動産バブルと株価バブル(PERの異常値)が同時に起きたことで、その後の崩壊は非常に激しいものになりました。





日米の株式バブル

2010年01月06日

アメリカと日本の株価とPERのチャートです。日本は1990年前後に、アメリカは2000年前後にバブルが起こり、PERが異常値まで上がっています。

日米ともにバブル後に株価は暴落しています。ただ、バブルの終わりを予測するのはなかなか難しいです。
90年代のアメリカではPERが20倍を超えた後に株価は3倍近くになっていますし、80年代の日本ではPERが20倍を超えた後に株価は9倍近くまで値上がりしています。早々に撤退してしまった投資家は、その後の大きなリターンを逃してしまったことになります。


・アメリカ 実質S&P500と景気循環調整PER(10年EPSを使用)




・日本 実質日経平均株価と東証PER



※東証のPERは、1998年までは財政金融統計月報(証券の部を参照)、1999年以降は東証のHPより。1年EPSで計算している (と思われる) ため、バブル以降の数字はほとんど機能していません。しかし60年代~90年までの数字はある程度参考になると思います。


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